児童会と地位
「誰かやってくれる人いないか?」
この言葉はもう何回目だろうか。
今日は児童会選挙のクラス代表を決める日だ。新六年生の太一達からは会長、副会長、書記の三人を選出しなくてはいけない。
「いい経験になるぞ。」
担任の田中先生の声だけが静かな教室に響く。
「後期ならやります。」
一人の女子がいった。その言葉が合図だったかのように口々に
「後期なら~」
「つぎはやる」
などと言い出した。教室が騒がしくなる。
「静かに!」
きょうしつに静寂が訪れる。先生もイライラしていた。
二時から話し合いを始め、今は四時。途中のトイレ休憩を除いてもかなりの時間になる。児童も先生もイライラしていた。
「今は前期のことを聞いている。」
みんなが後期を希望するのには理由があった。
ひとつは前期と後期を比べたとき圧倒的に前期の方がやることが多い。
二大行事の運動会と学芸発表会の二つは別れていて、両方事務局として活動する。しかし後期の発表会は会長が少し話すだけなのに対して運動会はもっと大変なのだ。
具体的には競技の企画と運営。開閉会式の進行があったり、入退場の指導や先導など…後期の五倍以上は大変であること。
そしてもうひとつの理由は運動会で他にやりたいことがあるからだ。
入場行進の鼓笛隊や、応援団長など児童会よりも魅力的なものがあることだ。
鼓笛隊は特に注目の的でその見た目のよさからも大人気である。
「じゃあ会長やるよ。」
太一がすっかり眠りについた頃相田 宇宙が立候補した。
本来は多数決だが他の候補がでないため、会長が決まった。
そのとき太一は隣の席の沙紀に起こされていた。
「朝ですよー」
「あとごふん。」
沙紀は太一に相談をしてきた。
「副会長やろうかなと思ってるんだけど書記やってくんない?」
沙紀は吹奏楽クラブ的なのやピアノなど音楽関係もしてて鼓笛隊をやりたいと思っていた。
「鼓隊やらんの?」
「みんな副会長やりたくないみたいだしね。太一はめんどくさいからだろうし書記くらいやりなよ。」
太一は自分がバカにされているようで腹が立った。自分だって鼓隊したかった(九割めんどくさいからだけど…)
ただこのまま話が続くのの方がめんどくさい。
「クレープ一個な。」
冗談のつもりだったのだが本気にした沙紀は
「クレープじゃなくてジュースでいい?」
しかし太一にはまだ不満があった。
「副会長って書記より地位高いよね」
沙紀が答えるより早く太一はもう手をあげていた。
改行ムズい