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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

滝沢圭一集

ハッピーホリデー

朝の8時50分、とあるデパートの前に人集が出来ていた。

もっと細かく言えば、たくさんの人が並んでいた。皆、目をギラギラ輝かせている。

『本日に限り新装開店セール全品2割引!』と大きく書かれた旗から察するに、彼らはセールに参加するつもりなのだろう。


列は入口から最後尾まで10数メートル程続いていた。

そして、その最後尾に慌てながらついた人間がいた。

160cm程しかない身長に、すこし栗色を帯びたショートヘア、白い肌と、整ってはいるが、おっとりした顔つきからか、青年というより高校生に見えた。慌てて走ってきた為か、綺麗に澄んだ黒い瞳が大きく見開かれて見える。手にはショットガンを持っており、少し着崩れた礼服には血が少しへばりついている。

「い、今何分ですか?」

少し興奮気味に、礼服を着た青年は、前に並んでいる人に尋ねた。

「ああ…8時57分だよ。まぁ、この位置じゃあ開店しても入るのに少し時間がかかるだろうけどね」

苦笑を交え、親切に答える人に向かって青年は、

「そうですか、ありがとうございます」

と、笑顔で返しながらショットガンの引き金を引いた。

ドンをいう轟音と共に、前にいた数人の体が飛び散った。


「今日はいい天気ですよね!何を買うのですか?」

礼服を着た青年は空いた数人分を詰めて、前にいる人に尋ねた。

「ああ、そうだね。僕は生活用品を新調しようかなって思ってるな」

「そうですか、それは素敵ですね」

質問に答える男性に向かって、再度青年は発砲した。

再び前方に並ぶ数人が即死した。


「3…2…1…はい、開店します!」

ウィーンと機械音と共に、自動ドアが開く。

青年はショットガンを道端に投げ捨て、軽快なステップで店内へと入っていった。

何度もこの行為を繰り返した結果、いつの間にか店内へ入った最初の客は青年になったのだ。

青年は手早く、インスタント食品や冷凍食品を漁り、両腕いっぱいに抱え込んでレジへ向かった。

そして、料金を払うと、少し音程のズレた鼻歌を歌いながら自宅へと帰っていった。

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