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2話 いざ新天地へ!!

名前:ユウヤ

種族:水蛸(みずだこ)

レベル:43

スキル:【水泳】【水生】【吐墨】【硬化】【選定眼】【麻痺毒生成】【麻痺耐性―弱】【自己再生―弱】

加護:運命の女神の寵愛




俺がこの世界に来てから二週間が経った。

まずは嬉しい報告を何点かしよう。


一つ、腕がはえてきました!!


半ば諦めてた腕だけど、二本ともしっかりはえてきてくれた。良かった良かった。


二つ、少し大きくなりました!!


毎日、好き嫌いせずに何でも食べてた成果か、俺は今では体長が1m近くある。最初の20㎝に比べたら雲泥の差だ。よく寝てよく食べる。やはりこれが大きくなるためのコツである。


三つ、新しいスキルが増えました!!


増えたスキルは三つ。

【麻痺毒生成】【麻痺耐性―弱】【自己再生―弱】

この内、【麻痺毒生成】と【麻痺耐性―弱】は海魚蛇の麻痺毒をくらい続け、海魚蛇を食い続けてたら手には入った。

【自己再生―弱】は俺の腕がはえて完治した直後に手には入った。

以上のことから、スキルは俺のおかれた環境によって手に入る仕様だと思われる。



さて、ここで一つ、残念なお知らせもしようと思う。

この辺り一帯、俺が狩場としていた場所から海老が消えてしまったのだ。理由は簡単過ぎるほど簡単。俺が食い尽くしてしまったからだ。

俺が今いる場所は岩場が特に密集している地帯であり、身を隠す場所などいくらでもある。しかし、この岩場を離れるとそこからしばらく岩場は無い。遠くの方に岩場のような物が見えるがそこに辿り着くまでには巨大海洋生物がうようよいる中、無防備に砂場を泳がなくてはならない。


―――海老が食べたい


日に日に強くなる願望。しかも最近は海老以外のモンスターも岩場からは姿を消してしまっている。と言っても俺がやけ食いしただけなのだが。


これはもう新天地に向かうしかない。というより向かわざるをえない。普通にこのままでは飢え死ぬ。馬鹿か俺は。



という訳で岩場を離れ、いざ行かん新天地!!


全力で泳ぎ、遠く離れた岩場を目指す。




身を隠すものが何もない砂地を泳ぐのは心細いものだ。意気込んでいられたのは最初の頃だけで後はいつ敵がくるか分からないプレッシャーに負けそうになりながらも必死に岩場を目指す。

急に当たりが暗くなった。俺はほぼ反射的に麻痺墨を吐き出し、砂に潜り込む。

次の瞬間には俺が先までいた場所に巨大な牙がたてられていた。鮫に似た巨大モンスター。今の俺では名前もレベルも見ることのできない遥かに格上の相手。

ここまで格上の相手に麻痺墨はほとんど意味がない。

しかし、鮫の鼻を麻痺させることはできる。鮫は砂に潜った俺を見つけることもできず、墨が晴れた後、どこかに行ってくれた。


鮫や他の巨大生物に食われそうになったのはこれで四回目。無駄に度胸はついたが、いつ死ぬか分かったものじゃない。それに目眩ましに使っていた墨もそろそろ尽きてしまう。これで一層厳しい状況に立たされてしまったことになる。


身を引き締め、今まで以上に注意深く進む。速度は落ちるが安全第一だ。










やっと辿り着いた新天地。途中、何度死ぬかと思ったか分からない。

クラゲのようなモンスターの針に刺された時は本当に危なかった。あのクラゲは海魚蛇より強い麻痺毒があったようで体が痺れ、数秒間動けなかった。

【麻痺耐性】があったから逃れることができたが、痺れている間にクラゲに食われてしまい、クラゲの腹を腕で突き破って出ててくるはめになった。

しかもあのクラゲ、腹を裂いてやったのに平然と再生しやがった。だが幸い、クラゲの再生中に逃げることはできた。九死に一生を得るとは正にこのこと。


さて、やっと着いた新天地。しかし既に辺りは薄暗くなってきている。今日のところは休んで明日から狩りをすればいいだろう。

安心できる岩場を探し眠りにつく。

明日はこの地で俺を待つ海老達に会いにゆかねば。

まったく、今から楽しみで仕方がない。













―――強いな。


朝起きて直ぐに俺は狩りに出かけた。しかし、この岩場、前にいた岩場に比べて格段に強いモンスターがうようよいる。今の俺と同等かそれ以上のモンスターだらけだ。

逆に最初にいたのがこの岩場で無くて良かったと本気で思った。あの頃の俺ならそれこそ簡単に食われていたに違いない。その辺はもしかしたら運命の女神の寵愛が効果を発揮しているのかもしれない。


俺が今、対峙しているのは鋸蟹(のこぎりがに)。鋏の代わりに鋸のような腕を持つ蟹である。レベルは48。同格で俺よりもレベルは高い相手。しかもこの蟹、滅茶苦茶に硬い。おかげで後方部からの不意打ちでトドメを刺すことができなかった。


奴がいきなり両手の鋸を擦り合わせた。


―――何をする気だ?


鋸蟹の鋸から泡が出始めた。一体どうなっているのだろう。

蟹が横歩きで俺に接近。更に鋸で俺を一閃。俺は体を硬化して迎え撃つ。

スキル【硬化】はこの数日で効力を増している。どうやらスキルは使えば使うほどその効果を上げていくらしい。

そんな【硬化】で強化された肉体。しかし、鋸蟹の鋸を受け止めることはできなかった。鋸蟹の鋸が有り得ない程の熱量を有していたのだ。


―――あっつい!!!!!


たこ焼きになる前に前方に水をかきあげ後方に逃れる。

鋸が触れた場所を見るとそこだけ火傷したかのように爛れていた。【自己再生―弱】があるので数時間で治るとは思うが、あの鋸は厄介極まりない。

今思えば、あの鋸から出る泡は鋸の熱により海の水が蒸発した為におきたのだろう。早く気がつくべきだった。

鋸蟹は勝ち誇るかのように鋸を掲げている。地味にムカついた。

再び近付いてくる鋸蟹。しかし俺は今回も奴を迎え撃つ。


シューーーー


鋸をモロに受け止めた俺の腕から焼けるような音と激痛が襲う。いや、本気で痛い。

痛みをこらえ、俺はそのまま鋸蟹を拘束。動けなくなったことに気がついた鋸蟹は慌てて俺から離れようとする、がもう遅い。俺は近くにあった大きな石を鋸蟹を拘束している二本の腕を除いた六本の腕で持ち上げる。俺の腕の筋肉はかなりのものであり、既に自分と同程度の大きさの石なら軽く持ち上げられるまでになっていた。

持ち上げた石をそのまま鋸蟹目掛けて振り下ろす。だが敵もなかなか強力な甲殻(よろい)を持っており、一発ではその甲殻(よろい)を打ち砕くことはできなかった。ならばと再び石を持ち上げ身動きのとれない鋸蟹に向かって何度も振り下ろす。


グシャ


とうとう鋸蟹の甲殻(よろい)が砕け、同時に中身も石によって潰され鋸蟹は絶命した。


多少形は変形してしまったが、この岩場(しんてんち)での初めての食事。期待を込めてから口元へ運ぶ。


「ウンマーイ!!!!!」


流石は強い獲物。熊海老ほどではないが、桜海老よりは美味しい。まさか海老を超える生物がこの世の中に存在するとは。う~む、やはりファンタジーな世界だけあって奥が深い。

変なところで異世界を実感しつつ、火傷を負った腕が回復するのを待つ。幸い【自己再生―弱】のおかげで、三十分もしないうちに腕の火傷は治ったので次なる獲物を探して行動を開始した。











俺はその後、鋸蟹×3、不定獣×2、千針虫×2を食った。

ここで新たに出会ったモンスター達の説明をしておこう。

不定獣は見た目は完璧にナマコのモンスター。だが、体が傷つくと海魚蛇以上、クラゲモンスター以下の麻痺毒を散布してきた。【麻痺耐性―弱】では完全に防ぐことはできず、若干痺れてしまったが、三十秒もかからずに解除されたので問題なく不定獣は倒すことができた。

で、重要な味の方だが普通に美味しかった。見た目がナマコだったので食べるのには抵抗があったのだが食べてみれば癖になる味だった。


次に千針虫についてだが、これは見た目はウニそのもの。とりあえず針が危なかったので石でもって撲殺した。自ら動くことはできないようなので倒すのは比較的簡単であった。

味はまさしくウニそのもの。つまり大変美味であった。熊海老ほどの感動こそ無かったが、その美味しさは格別である。


この岩場はかなり広大なようで、俺がモンスターを食いまくっても全く問題は無さそうである。しかし、ここでの俺の実力はよくて中堅あたり、油断していたらこちらが食われてしまうだろう。

だが、だからこそやりがいがあるとも言える。相手が強いということはそれだけ俺が強くなるのも早いというわけなのだから。

ここで生き抜くことができれば俺は更なる高みに登れるに違いない。俺はもっともっと強くなる。そんな決意を新たに今日は眠りにつくことにした。












名前:ユウヤ

種族:水蛸(みずだこ)

レベル:52

スキル:【水泳】【水生】【吐墨】【硬化】【選定眼】【麻痺毒生成】【麻痺耐性―弱】【自己再生―弱】

加護:運命の女神の寵愛




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