寝落ち通話
「ってことがあったんだよ」
「それは新太のことが好きなんじゃないかな」
その日の夜、荒季に電話をかけて放課後の出来事を話した。
「美緒とはそこまで仲いいって感じでもなかったんだけどな。それに、俺には加恋がいるんだぞ? 俺に恋なんて無謀だぞ」
「恋は自由だからね。理性ではダメだって分かってても、感情的にしてしまうこともある。そして、それを誰も責めることは許されないんだ」
「急に詩人みたいになってどうした」
さては賢者タイムだなこいつ。
「まあでも、しばらく様子を見てもいいんじゃないか? 名言はされてないんだろ?」
「まあな。それっぽい感じがしただけ。俺の勘違いって線もあるし、俺的にはそれが濃厚だと思ってる。別に俺、加恋が異常なだけで誰かに好かれるような男でもないしな」
昔っから加恋は俺に付きっきりだった。けれどそれは俺が高スペックだとかイケメンだとかそう言う理由ではないはずだ。ただ、一緒にいる中でどこか突発的に気に入った部分があっただけなのだと思う。
けれどだとしたら、美緒がそんな感覚になるわけはない。
「それは正直新太の自己評価が低過ぎな気もするけどな。加恋ちゃんが好きになるだけあって、新太には人に好かれるだけの素質があるんだよ」
「そう言ってくれるのは嬉しいけどな。そんな大層な人間じゃないって」
「荒季と違ってスポーツとか勉強が出来るわけでもないし」
「能力ばっかりが人間じゃないぞ」
「能力があることを否定はしないんだな」
「しても仕方ない。それに、持つものはそれを自覚していないと持たざる者を傷つけることになる。まあ、自覚していてもなるみたいだけど」
「だろうな」
嫌味ったらしい部分もあるが、それを冗談めかして言えるから荒季は凄い。
そんな感想を抱きながら、その夜は寝るまで雑談なんかをして過ごした。




