君に愛されたまま死にたい 第一章
初めまして零檸檬です。物語ができたらその度投稿していきます。初めて書いた物なのでここの文がおかしいよなどがあればぜひ指摘していただけると嬉しいです。
12月18日17時半 上木 怜
「ねえ。」
「・・・」
「私達、このまま死んで天国?か地獄か、まぁどうせ地獄なんだろうけど。そこでもみんなから馬鹿にされて、塵のような目で見られて、誰からも無視されて生きていくのかな?」
死んでいるというのに、生きていくって何だ?と、思いつつもそれに答えた。
「今以上に不幸せにはならないだろ。」
2月9日15時 森口 春樹
年が明けてもう一ヶ月経ってしまった。いつも通り机に顔を押し付け、涎を垂らしながら寝そうになっていた。
「またお昼寝ですか?」
僕の隣の席に腰をかけ話しかけてきた。
「宏大さん、お昼寝というのは15分寝る事によって集中力を上げるために必要な事なんですよ。」
「あなたいつも40分以上は寝てるじゃないですか。しかも二度寝付きで。」
困りつつも笑った顔で言ってきた。一度寝たら二度寝したくなるのは仕方ないじゃないか。そう文句を心の中で吐く。
「そういえば、森口さん今日例の少年のカウンセリングでしたね。準備しなくていいんですか?」
あぁ、そうだった。危ない忘れる所だった。忘れないように努力したのに。
「じゃあ近くのコンビニでも行ってカウンセリング用の何か飲み物とお菓子買ってきますよ。」
「あ、じゃあエナドリ買ってきてくれませんか?お金出すので。」
「?、今日何かあるんですか?」
「資料の整理をしないと…今までサボっちゃってたので。」
少し恥ずかしそうな顔で笑う。今まで散々サボり散らかしてた自分がカスに思えてきた。
「分かりました。買ってきますよ。」
みんなに見送られながら職場を出る。コンビニに行きながら例の少年について思い出しておこう。
たしか名前は… 上木 怜 性別は男性で14歳。中学2年生か。親を殺して3週間逃走…。
警察で取り調べを受けても口を割らないからカウンセラーに丸投げって感じだったような。
少し肌寒い外を歩きながらコンビニに入る。カウンセリング用の紅茶を数パックとお菓子のじゃがりこを二つ買う。それと…あれだ、宏大さんのエナドリ。
これといって何もない帰り道をひたすらに歩く。コンビニに行く時に何か考えていたからすぐに着いたように思えるのだろうな。とそんな事を考えていたらいつの間にか着いていた。
2月9日18時 森口 春樹
ついにこの時が来てしまった。例の少年のカウンセリング。紅茶も用意したし、お菓子も用意した。自分の容姿も…まぁ大丈夫だろ。
コンコン と音が聞こえた。
「どうぞ。」
「・・・」
髪の毛はかなり長く、肌は白い、まるでインクを目に刺したかのような暗い目、それにひどく痩せていた。
「どうぞ座って、特に緊張しないでいいから、あっ、ほらお菓子もあるよ?」
「・・・」
…無反応はきついって。しかも目はこっちに向いてくれないし。とりあえず信用を取らなくちゃ。
「君は…何故親を殺したんだい?僕も『親を殺したい』って思った事はあるけど実行には移らなかったよ。それとも何か理由があったのかな?」
「あんたには分からないよ」
おぉ、口を開いてくれた。喋りたくないか…、でも喋ってくれなきゃこっちも困るんだよね。
「君の事を分かりたい、知りたいから聞きたいんだ。きっと君の今までの人生で、君の事をよく知っている人がいたんじゃないかな?」
彼は少し頷いた。これならいけるかも。
「君があの日何をしたのか、どうやってここまで生きてきたのかを少しずつ教えてくれないかい?もし思い出したくない事があったらそれは教えなくてもいい。だから…」
そう言った途端彼は言葉を挟んだ。
「全部言うよ。言うから。」
…あ?何で急に?警察にも口を割らなかったんだろ?どうして僕に?
「お兄さん…あの子に少し似てるから。」
どうやら僕の容姿はこれで良かったらしい、それはそうとあの子とは?全部の話を聞いてみよう。
「それじゃあ、君の話、最初から聞かせてくれないかい?それとあの子の事もね。」
そして怜くんは口を開いた。
12月13日3時 上木 怜
鼻をつくような甘ったるい匂い。俺は親を殺した。いつも俺にアイロンを投げてくるクソ女と、本当の俺の親じゃないクズ男。刺した手の実感がまだ残っている。抵抗されないように寝てる隙を狙って正解だった。馬鹿みたいに全裸になって2人仲良くベッドの上で死んでる。何が『やめて』だよ、何が『許して』だよ、今まで俺はあんたらにそれを言っても無視したじゃないか。そう、これは報いだ。だから俺は何も悪くない。悪くないんだ。
そんなこんなしてる間にそろそろ夜が明けてしまう。早く金を持ってここから逃げないと。クズ男がホストで稼いだ何百万があるそれを持って何処か遠い所へ逃げよう。そして…どうしよう。金がなくなったら自首するか。それでいい。束の間の休息を楽しもう。そして自分以上に大切な何かを見つけるんだ。
ーーつづくーー