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旦那ちゃんと嫁ちゃん

旦那ちゃんと嫁ちゃん~朝の出来事~

作者: 山本大介

 本当に・・・。


 本日、休みの旦那ちゃんは、ベッドでスマホ片手にまったりと動画なぞ観ている。

 かたや、嫁ちゃんはベッドから起きると、朝食、お弁当の準備へと取りかかる。

 優雅な休日を過ごそうとしている旦那ちゃんにちくり、


「暇なら弁当作ってくれてもいいんだよ」

「いや、あの、暇じゃねぇし」

「はん」


 取り繕う旦那ちゃんをよそに嫁ちゃんは台所へと向かう。


 便意をもよおした旦那ちゃんは、れっつ!うんちとしゃれこむべくトイレへGOした。

 ぶりぶりふりぶりぶりりりりり~ぷっすう。

 あれ、いつもより感じ多めだな(笑)。

 ちらりとうんちを見れば、便器の中に鎮座するそやつは、まるでアラレちゃんに出てくるような、こんもりソフトクリーム型のものだった。

 ケツも拭かずにトイレを飛び出す旦那ちゃんは、嫁ちゃんに声をかける。


「すげーうんち出た!見る」

「見ない!くさいから」

「そんなこと言わずに」

「じゃ、しょうがない。写メって」

「ええ~マジで」

 

 旦那ちゃんは腑に落ちないが、スマホを持ってきてパチリとうんちをナイスアングルで激写した。


「ほら、観て」

「ホントに撮ったの」

「撮れっていったやん」

「言ったけど、マジ実行ウケる」

「JK?」


 と、嫁ちゃん呆れ顔でちらりとうんちを見る。

 写真のうんちは、まるでうんちゃと言ってるかのよう。


「そうね。快便」

「でしょ」

 

 フフーンと胸をはり、満足した旦那ちゃんは即座にうんちの写真を消す。


「恥ずかしいでしょ」

「・・・嫁ちゃんが撮れといったから」

「まあね・・・だからといって・・・だけどね」

「なんですとう」

「ああ、そんな暇なかった」


 んなこんなで、遅延が生じた嫁ちゃんは着替え朝食をして、慌ただしく家をでようとする。


「いってきます」

「いってらっしゃい」


 旦那ちゃんは嫁ちゃんの背中越しに、


「ふふふ、俺のうんち、凄かっただろう」

「旦那ちゃん」


 くるりと振り返る嫁ちゃん、


「ん?」

「あなたって、過去の栄光に縋るタイプなのね」

「・・・過去の栄光って」

「いつまでも昔のことを嬉しそうに言って」

「・・・ほんのさっきのうんちだよ」

「あー見苦しい。いつまでもいつまでも同じことを」

「だって、凄かったっしょ」

「はいはい。いってきまーす」

「・・・いってらっしゃい」


 嫁ちゃんが家を出て、パタムと扉が閉まった。


「・・・いけずう」


 旦那ちゃんは寂し気に呟いた。


 ちゃんちゃん。



 凄いやーつだったんですう。

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