表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一線  ~譲れないもの~  作者: 醍醐潔
七転八倒
81/99

3-20 こんなハズじゃなかったのに


新宿署管内でワゴン車から、複数のクーラーボックスを出す外国人を発見。職務質問しようと近づいたトコロ、捜査員を付き飛ばして逃亡したので逮捕。



入っていた肉塊にくかいぶたで、人では無かった。追及した結果、畜産ちくさん農家から奪った家畜かちくを解体し、売りさばいていた不法滞在者と判明。


アジトにも大勢の不法滞在者が居たので、全員逮捕。




「殺害現場はドコだ。」


捜査員の一人が呟く。




被害者宅を調べたが何も出ず、敷地内を捜索。佐藤本家が所有する不動産、分家が所有する不動産まで調べたが、何も見つからなかった。



分かったのは被害者が膃肭臍おっとせいオヤジだった事、家に一円も入れていなかった事、佐藤家の暮らしが質素だった事。


囲われていると思われた稔の愛人、四人とも佐藤家の使用人寮で暮らしていたダケで、何の援助も受けていなかった事。




「佐藤 みのるの足取り、掴めました。」


DVDを手に、捜査本部に駆け込んだ捜査員。光学ドライブにセットして、スクリーンに映し出す。


「高尾山か。」




鈴木 和人(かずとが所有する高尾山の別荘は、なな何と! 最寄り駅から徒歩五分の場所にある。



見栄っ張りの和人は傾斜地けいしゃちだろうが旗竿地はたざおちだろうが、駅近物件にしか興味を示さなかった。その結果、築年不明の古民家をゲット。


諸手続きを済ませて直ぐ更地にし、洒落しゃれた雰囲気の別荘を建てる。



ポッツン度が高いので、仕事仲間や取引先を招待し放題。佐藤稔も、その一人。


和恵と千鶴は同行したが、幸子はジョンと留守番。正確には別荘の掃除やら何やらを済ませた幸子が、和人らと入れ替わりに帰宅したダケ。




「アッ、確か。」


捜査員の一人が資料をペラペラめくり、パンと叩く。そこには稔に『あなたの子よ』と認知を迫った、二十五人からの証言が纏められていた。


「鈴木テクノロジーの元社長、和人が所有する別荘が高尾山にあります。そこを貸し切って被害者が。」


表現に困る事をしてマシタ。


「神保美穂、高梨美智代、三谷典子の携帯に保存されていた写真の中に、鈴木家の別荘が。」


バッチリ写ってマス。






八王子署の捜査員が調べた結果、いろいろ出ちゃいました。



和人たち三人が逮捕されたのは、稔が失踪する前。いつだったか『八王子の別荘を貸してほしい』と頼まれ、鍵を渡した事があると証言。


鍵は三日後に返却されたので、無断で合鍵を作ったのだろう。



このまま一気に、と思ったが・・・・・・。



「どうなっている。」


犯行現場は判明したが、凶器や遺体が見つからない。


捜査員を増員してもダメ。『ここ掘れワンワン』を期待して、お犬様が捜査に加わった。が、ワンワンならず。






「どうなってるのよ!」


DNA鑑定の結果、生まれたのは稔の子では無いと判明。アテがはずれて大荒れ。


「こんなハズじゃなかったのに。」




不仲だと聞かされていた妻との関係は良好。囲っていると聞かされた四人は愛人ではなく、子種を提供したダケ。


援助も受けてイナカッタ。



やっと幸せになれる、楽が出来ると思ったのに騙された! このままじゃ這い上がれない。許せない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ