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一線  ~譲れないもの~  作者: 醍醐潔
第二部 幸子とジョン
54/99

2-31 なるよ、お医者!


十四年間、女として生きてきた。そんな私が男になるなんて、本当にビックリよ。


最初は、ううん。今でも戸惑う事があるけど、私にはジョンがいる。何だって乗り越えられるわ。




「婚活パーティですか?」


乗り越えられる、かな。






『財閥解体』 第二次世界大戦後、連合国総司令部の命令により行われた措置。財閥を分散させ、その経済的支配力を除いた経済民主化が進められる事になった。



財閥本社の解散、財閥家族による企業支配直の排除、株式所有の分散化。


続けて大企業の分割・再編が検討されたが一部分割にとどまり、銀行が集中排除対象から外されたため、銀行を中心に大企業軍団が形成。



多くの家門が没落したり困窮したが、『お百姓さんが一番えらい』を家訓にする佐藤家は踏ん張った。


一段落すると当主は親族を集め、『母屋を渡す』と宣言。以後、横の繋がりを大切にしながら自らを『狸爺たぬきじじい』と称し、当代を支え続ける。



先見の明があった本家当主は、商才を持つ分家筆頭当主と共に『鈴木商事』を設立。洋行ようこう帰りの親族を巻き込み、御家復興を目指す。


と同時にコツコツと田畑を買い求め、一族総出で野良仕事。イロイロあったが事業が軌道に乗り、何だカンだで大成功!


鈴木商事に旧家の出が多いのは、コネもあるケド実力よ。






「一口に旧家と言ってもイロイロあるが、どの家門も横の繋がりを大切にする。智は本家の次期当主。政略結婚してもらうが、恋愛結婚せんでも恋愛できるぞ。な、優子。」


茂が優子の手をソッと握り、微笑む。


「はい。」


『ポッ』と聞こえそうなホド、頬を赤く染めた。






ラブラブだぁ!


「仲良しだね。」


ね。


「幸子もラブラブ・・・・・・、あれ。」


どうしたの、ジョン。


「幸子は智だから、女の子とラブラブ?」


あっ。


「ボクね、幸子が男の子でも大好き。」


ありがとう。私もね、ジョンがマルチーズになっても大好きだよ。


「リボンは濃ぉい、金色にしてネ。」


うん、任せて。






さとしは将来、どんな職業に就きたいのかな。」


茂に問われ、スッと背を伸ばした。


「叶うなら、町医者になりたいです。」


「町医者か。」


「素敵ね。」


二人とも、反対しないの?


「医学部に進むなら留学せず、学所から国立大学を目指す方が良いだろう。」


「そうね。」


「ありがとうございます。僕、頑張ります。」


なるよ、お医者!




本家の当主だからと、佐藤商事に入社させる気は無い。家門を次代に繋いでくれれば十分。




「帳簿をつけられる令嬢となると、限られますわね。」


「特技は暗算、趣味はガーデニングか。」


「そんな御令嬢、いらっしゃる?」


「まぁ、一人くらい。」






婚活パーティー、じゃなくて、懇親会の参加者リストを仲良くチェック。


佐藤家は大地主。トラクターの運転や農機具の手入れは出来なくても良いが、金勘定に薔薇の世話、軽トラの運転も出来なきゃネ。


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