2-19 正当防衛です
三男のクセに、クソッ! 実家、それも親父宛てに送る事ナイだろう。
「おい、佐藤 智。カオ貸せ。」
「嫌だ、断る。糖谷新一。」
新一は今平党党首、糖谷 一の孫。父、新も国会議員。双子の弟、真治は隣のクラス。
「お前、自分の立場を考えてモノを言え。」
???
「止せ、新一。」
クラスメイトが止めに入った。
「何だよ、昴。」
昴は民民党党首、蝉塚太郎の孫。父、毅も国会議員。兄、貴志は高等部一年、在学中。
「マズイって。」
「何が。」
二人とも智のクラスメイト。
巻き上げたツモリで居たが、新一は352万4550円。昴は341万9520円の借金を背負っている。
智は最初に恐喝された時、即座に借用証書を作成。しっかり署名させた上で拇印を押させた。
その後も借用証に署名しないと金を出さなかったので、『知らぬ存ぜぬ』は通用しない。
「佐藤くん。これまでの事、全て謝罪します。申し訳ありませんでした。」
昴が深深と頭を下げた。
昴が支払期限の翌日付で、内容証明が父宛てに届いた事を知ったのは先日、午後四時過ぎ。
携帯電話に母から『直ぐ帰れ』とテキストメールが届き、帰宅すると書斎に呼ばれた。
父から『半年間の謹慎。初めの一カ月間は自主休学させると』言われて初めて、己が『何をしたのか』に気付く。
「エッ、おい。」
「新一、君も謝罪しろ。」
「はぁ? ふざけんな!」
新一が支払期限の翌日付で、内容証明が父宛てに届いた事を知ったのは先日、夜八時過ぎ。
いつも十時過ぎにならないと帰宅しない父が、大慌てで自室に飛び込んできた。そこで初めて、詳細を知る。
どんな時も味方になってくれた母には泣かれ、父からは大目玉を食らった。
反発すれば長引くと考え『明日、登校したら智君に謝罪する』と頭を下げる。
「だいたい佐藤、お前が悪いんだ。」
謝罪する気などサラサラない新一が、左手で智の薄い肩をガッと掴んだ。
「ヴゥゥ。」 ソノテヲハナセ。
ジョンが新一と昴にダケ姿を現し、牙を剥く。
「バッ、バケモノォ。」
新一が右の拳をブンと振り上げ、ガッと殴った。
「ヴヲォ。」 ユルサナイ。
襲い掛かろうとするジョンに幸子が抱きつき、『ダメよ』と声を掛ける。
「死ねぇ。」
床に倒れた智に馬乗りになり、細い首を締める新一。しかし幸子が、渾身の一撃を食らわす。
「ヴッ。」
股間を膝で蹴り上げられ、ドサッと横に倒れた。
「ゴロズ。ギャァァッ。」
幸子は迷わず、両手を踵で除けながら思い切り踏んずけた。無表情で。




