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一線  ~譲れないもの~  作者: 醍醐潔
第二部 幸子とジョン
37/99

2-14 わぁお


ん、さとしのヤツ。


「こらこら、先に食べるヤツがドコに居る。」


パチクリ、ゴックン。


「ココに居ます。」


タコさんウインナーをはしで挟み取り、パクリ。幸せそうにモグモグ。






教室を出ようとした時、女生徒に囲まれてしまった。紳士的な態度で接し、廊下に出たら出たでキャァキャァ言われて囲まれて、来るのが遅れた事は謝る。


がな、弟よ。幾ら美味おいしくても、そんな顔して食べるな。



あれ? 智の横に大型犬が見える。


ってかコイツ、こんなにパクパク食べるヤツだっか? 本当は死んで別人、異世界人と入れ替わってたりして。


・・・・・・まさかな。






「ごちそうさまでした。」


ササッと片付け、ニコリ。


「食堂へ行くぞ、智。」


「エッ。僕もう、ご飯たべたのに。」


「デザートを御馳走しよう。」


わぁい。






噂は本当だった。


神戸肉のステーキ、一万円。シェフのオススメ、一万五千円も完売してる。何をオススメしたら、その値段になるの? 学食の定食だよね。フルコースなのかな。






「智、早く決めろ。」


「はい。えっと『季節のフルーツタルト』、三千円?」



ホールケーキじゃナイよね。文久堂ぶんきゅうどうの高級フルーツとか、北海道の高級バターとか、搾りたて牛乳とか使っているのかな。


一切れ、どれくらいの大きさなんだろう。



「飲み物は紅茶で良いか。」


「はい。」


紅茶、千五百円?! ぽぽ、ポットで出てくるのかな。ドキドキ。






内進組の食堂には、特別室ってのが在るんだヨ。広さは十畳くらい。丸いテーブルに椅子が四脚よんきゃく。部屋の隅に二脚、並べて置いてある。



ホテルのレストランの給仕きゅうじ係みたいな人が、ワゴンに載せられた料理を静かに置いて、一礼してから退出。


ココ、学校だよね。学校の食堂だよね。



真っ白なうつわに盛り付けられた、直径十㎝ほどのフルーツタルト。お値段、三千円。お高そうなカップに注がれたアールグレイの紅茶、一杯千五百円。


〆(しめ)て四千五百円。わぁお。






「いただきます。」


フォークがスゥっと入った。一口大に切って、パクリ。


「フゥゥン。」


し・あ・わ・せ。






たけしめぐみは『シェフのオススメ』を四人分注文して、特別室で待っていた。十分待っても到着しなかったので、仕方なく先に食べ始める。


つまり、食事してイナイのはまさるだけ。



智の分は、豪と勝が半分こ。デザートは愛がペロリ。


会話しながら食事するなんて、三人とも器用だな。と思いながら『季節のフルーツタルト』に舌鼓を打つ。






「聞いているのか、智。」


幸せそうに食べる智に、強く言えない豪と勝。


「はい。これまで同じ車で登校していたのに、一人だけ違う車で来た。勝さんは良いけど僕は違う。」


ゴックンしてからスラスラ答える。


「そうだ。これが何を意味するのか、考えるまでも無いだろう。」


多分、ずっと前から虐待を疑われてたんだね。と思いながら紅茶を味わう。うぅん、美味しい。


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