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一線  ~譲れないもの~  作者: 醍醐潔
第二部 幸子とジョン
32/99

2-9 お綺麗です


マズイ事になった。コンクリートブロックを付けて沈めたのに、なぜ浮上したんだ。


名前だけでなく写真、それも制服姿のを出すとは思わなかった。



娘を荏原えばらに通わせているダケで、成績に関係なく評価されるんだ。


いや待て、落ち着け。現時点では取引先に動きは無い。が、これからドウなるか。



警官からは『見ない方が良い』と言われたが、万が一という事もある。この目で確認した。グチャグチャで分からなかったが、幸子とジョンだろう。


あのロケットには見覚えが有る。優人まさと、弟が贈ったモノだ。






りに選って、こんな時に出てくるとは。」


大事な商談を控えているんだ。纏まらなければ、成立しなければウチは終わり。


「ハァァ。」


家も土地も担保に入っている。実家には頼れない。和恵の実家、嶋田家は論外。逆に頼られる、せびられる。


「出来てなけりゃなぁ。」


親に言われるまま見合いしたが、身持ちが堅すぎて退屈だった。だから手っ取り早く遊べる和恵で我慢してたのに、出来ちまったんだよ。幸子が。


「クソッ。」


腐敗が進んでいたんだ。死因も死亡推定時間も分からないハズ。散歩中に攫われたか何かで・・・・・・。


「散歩セット。」


入れたか?






バタバタバタバタ、バンッ。


「あなた! 大変よ。千鶴が逮捕されたわ。」


「は?」


「学校で大怪我を負わせて、警備員に取り押さえられて。それで、その。」


「今日は土曜だ、休みだろう。なぜ登校したんだ。」


「部活で、練習試合が近いからって。」


「部活? 小学生だろう。」


「何でも中学のバスケ部にイケメンが居る、とかで。」


カンベンしてくれよ。






コンコン。


「こんにちは、さとし。」


「こんにちは、お婆さま。」




虹の橋で花丸に再会したのは、初等部六年の連休明け。そんな智が無試験で中等部に進学できたのは、荏原学問所の『特別進級・進学制度』が適用されたから。



内に籠る内向性の少年だが、表情筋が休暇に入っているダケで感情は豊か。学業成績だって優秀。


理由は伏せられているが大怪我を負い、長期入院しているのだ。『適用条件を満たしている』と、歴代担任が校長に直談判じかだんぱんしたらしい。




「キレイですね。」


真っ白で立派な百合の花。一本、幾らするんだろう。


「あら、うふふ。ありがとう。」


アッ、うん。お綺麗です。


「庭に咲いていたのよ。」




引き継いでから一週間後。智の担任だった初等部の教員と、中等部の担任が特製プリントを持って見舞いに来てくれた。


私立中学を受験できたのだ。智ほど優秀ではナイが、幸子だって出来る子である。合格点を貰い無事、二学期から中等部一年に通う事になった。




「あら、お勉強?」


「はい。」




社長令嬢だった幸子は、内進組では無く外進組。座右の銘は『質素倹約』、特技は家事と見切り品の目利き。大型犬の世話と節約術には自信アリ。


だが、女歴十四年。



キラキラ族と友好を深めるダケでもハードルが高いのに、男の子一年生。いろいろ頑張らねば!


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