2-7 世の中、金だよね
私も『特待枠』狙いで受験したケド、特待生にはナレナカッタ。それでも合格は合格じゃん。嬉しかったよ。
入学後に知ったんだけど、特待枠に入るのは入試成績上位五名。ココまでは良い。問題は合格するのは上位二十五名で、残り十五枠は世帯主の年収額で決まるんだ。
「世の中、金だよね。」
ハァ。
「クゥ、ワン。」 ソンナコトナイ、サチコガンバッタ。
「ありがとう、ジョン。」
なぁでナデナデ。
日本一の金持ち学校だ、いろいろ有るのだろう。それにしても露骨だな。
そういえば『鬼丸』の子会社、口を揃えて『依頼者の大半が、子女を荏原学問所に入れてる』と言っていたな。アレ、自慢だったのか。
鬼丸グループ売上二位は永田町御用達、昭和中期創業の『山王社』。鬼丸グループ売上三位は昭和初期創業、『怨霊組』。鬼丸グループ売上四位は、江戸後期創業の『八丁堀』。揃ってタップリ搾り取る。
売上一位の元締、『鬼丸』がアレだからな。当然と言えば当然だろう。揃って『私怨による返報代行業』で届けてるし、迫力満点だモンね。
「コホン。そろそろ良いかな。」
「ハイッ。」
幸子は正座、ジョンはお座りしてキリッ。
「佐藤家は江戸初期から名古屋で商業高利貸と商業を営み、明治維新後に銀行を設立。貿易、工業にも進出したが敗戦後、解体された旧財閥。再起を図り成功した資産家で、複数の不動産を所有。都内とは思えないホド広大な敷地に、複数の屋敷が建っている。本屋に社長一家、別棟に会長一家。本屋の近くに建てられた家に、契約書を交わした愛人一家が暮らしている。」
佐藤 稔の愛人その一、銀座で美容クリニックを経営している江口 愛美。充は公立高校三年生、男子。
愛人その二、銀座で小料理屋を経営している小川真樹。真は公立高校一年生、男子。
愛人その三、銀座で高級クラブを経営している上野 啓子。圭は公立中学二年生、男子。佳子は公立小学六年生、女子。
愛人その四、銀座でブティックを経営している井上 明美。出産予定ナシ。
「正妻との間に生まれた子は四人とも、幼稚部から荏原学問所に通っている。長男の豪が十七、次男の勝が十五、三男の智が十三。長女の愛が十一歳。纏めると上は十八、下は十一と毎年、生まれてマス。」
うわぁぁ。
「本屋に居場所が無い智は頻繁に、祖父母が暮らす別棟を訪問。愛人が暮らす使用人寮、通称『秘密の花園』を訪れるのは稔だけ。」
でしょうね。
「どうだろう。寿命が残っている佐藤智クンの体に入って、生きる気になったカナ?」
パチクリ。
「考える時間・・・・・・なさそうですね。」
アハハ。
「ジョンと離れたくアリマセン。」
だから、ごめんなさい。
「わかった。なるべく早く、新しい体を見つけるよ。だからジョン。幸子さんと共に、智クンの体に入ってくれるかい。」
「ワン。」 ハイッ。
幸子の傍に居られるなら、良いヨ。




