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一線  ~譲れないもの~  作者: 醍醐潔
第一部 悪因悪果
20/99

1-20 浄化柱


鳴海札なるみのふだは使い捨て。小札こふだ大札おおふだ紫藤札しとうふだの三種類ある。



小札は短冊状の紙片、大札は鳥居とりいが描かれた厚紙。極めて高い強度を誇る紫藤札は、大祓おおはらえや浄化壁のふたに最適。


いづれも使用時に発光し、対象を浄化する優れモノ。






「ギャァァァ。」



浄化柱の中で七転八倒しちてんばっとうするジャックとデズモンド。合体すれば逃げられると思っていたのに、待っていたのは断末魔の苦しみ。


光の壁に何度も体当たりし、破ろうとするがビクともシナイ。地にも天にも、触れた瞬間にジュッ。浄化柱をボボボンとはずみ、勢いを増す。



「アァァァァァ。」



融合したジャックの魂からニョキっと、触覚のようなモノが生えた。ソレを壁面にバンバン叩きつけ、打ち破ろうとする。


表面に苦痛に歪む顔が現れ、口をパクパク動かし始めた。何を言っているのかサッパリ分からないが、酷く罵っているのだろう。



デズモンドも同様。物凄い形相で壁面を叩き、肩から体当たり。そのたびに悲鳴を上げ、わめき散らしているのだろう。


浄化柱は透明なので分かりにくいが、厚さは約30㎝。柱内の音が外へ漏れる事は無い。



壁、床、天井に当たればジュッジュと焼かれ、煙が出るのに大暴れ。


ジャックは魂ダケだがデズモンドは違う。皮膚がただれたりベロンとげ落ち、肉は焼け、骨が見えている。



どす黒い闇が充満し、揃ってハクハクし出した。ジャックは弾む速度が落ちたが、動きを止める気は無いらしい。まぁ当然か。



壁面のアチコチに、ペタペタつけられた跡。その全てを合わせても、奪った人命の数には及ばない。



ジャックもデズモンドも女性を穢し、飽きるまでなぶって楽しみ殺すために来日。


不死となった事で神格化したと思ったのか、何をしても許されるとでも思ったのか、罪を重ね続けた。



無限地獄に落ちる事が決まっているが、この世でも絶え間ない苦しみを受けさせる。徹底的に。






「ハラスー。」


「はい、浦見さま。いつでもイケます。」




ハラスーの胴から生えている蛇はクサリヘビ、ユウダなど十三科、約二千七百種。


神話・伝説などに多く登場し、神の使いとしても崇められる一方、執念深く、気味が悪い生物として恐れられる蛇さんズ。


常日頃から浦見に撫でられる事で、特別な力を得る。



ピョンぬるクネクネ、ピョンぬるクネクネと繋がり、アッという間に一本の道を作り出した。




「ドラちゃん、お願い。」


「グルッ。」 ハイッ。




ハラスーと共に浦見の近くに控えていたドラが、大きく息を吸ってクワッと見開く。吸い込んだ空気を腹に落とし、ペコンとへこませた。


ボッと出た火炎球が、蛇の道を通って浄化柱の中へ。




「ア゛ァァァァァ。」



三分の一ほど溜まった闇溜まりは、瀝青炭れきせいたんのように光沢のある黒色。火種がポトリと落ちた瞬間、煤煙ばいえんの多い炎を発して燃焼。



密閉空間だ。空気を燃やし尽くせば鎮火するが、この浄化柱は紫藤札を用いた特別製。蛇の道から酸素がポコポコ送られ、ボウボウ燃えても大丈夫。


浄化終了まで消滅しない。


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