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一線  ~譲れないもの~  作者: 醍醐潔
第一部 悪因悪果
17/99

1-17 どこかに必ず


新宿御苑にえさを集め、夜通し騒いで食い散らかす予定だった。なのに開始早早、問題発生。食い足りないぜ。



隠り世は呆れるホド厳しく、チョットの事で逮捕される。一応裁判は受けられるが、外国妖怪でも極刑に処する狂った世界。


対して人の世はザルだ、と聞いていた。



ドコがザルだよ! 罰金とられてハイ御終おしまい。そう思ったら組事務所に連れて行かれ、問答無用で拷問漬け。






「ハァ、疲れっ。」


無数に伸びる闇の手がデズモンド・リッパー、本名ジャック・コールマンを捕らえた。


「離せぇ。」


両手両足、頭も違う方向に引っ張られ、千切ちぎれそう。


めろ。」


ビキッ、ビキビキビキッ。


「ギャァァッ。」


手足の付け根と首の左右にガブリと、三匹のコブラが噛みついた。


「アッアッアッ。」


コブラの毒は神経毒で、呼吸中枢を麻痺させる作用を持つ。幾ら不死身でも、息が出来ないのはつらい。






ハラスーがジャックを仕置している間、朱里あかりは防護服を着てマスクと手袋を装着。アジトの捜査を開始する。


開きっ放しのダンボール箱に入っているのは、被害者の物と思われる学生証や運転免許証。髪飾りや腕時計、電池切れの携帯電話など。




「コレクターなら一目で判るよう、整理しなさいよ。」


箱の側面に年号を書いた紙を貼るとか、目録を作成するとかイロイロあるでしょう。


「応援、呼ぼうかな。」




部屋の床から天井まで、ギッシリ積まれているのは古いダンボール箱。内扉は全て外され、遺品が入っていると思われる箱で埋め尽くしていた。




「二十年前、東京タワー。看護学生三人。相田香織さん、橋本佳苗さん、山本洋子さん。」


髪皮屋はっぴやおもて、菊の湯に来た生霊いきりょうは橋本明子さん。一人娘が姿を消し、夫にも先立たれ、長男一家と同居中。


「どこかに必ず、佳苗さんの遺品が入っている。」


入院せず、自宅療養を選択したのは佳苗さんが『ただいま』って、帰ってくるカモしれないから。






「朱里、お待たせ。」


伊都いとさん。」


「お巡りサン、連れてきたよ。」


玉緒たまをさん。」


「チェリー&ピーチ、働け!」


初音はつねさん。」




伊都、玉緒、初音も一九屋いくやたくみで、三妖とも鬼。伊都は旗本の娘、玉緒は子爵令嬢、初音は伯爵令嬢だった。


元お姫サマですが、何か?




「警察の皆さん。解っていると思いますが、一つでも勝手に処分したら仕置しますので、ヨロシク。」


一九屋のおさ、浦見参上。


「ハッ。」


お巡りさんズ、敬礼。






三稜草みくりさん、写真撮影お願いします。ハラスー、まとをコチラへ。ソファの上が良いかしら。」


浦見が悪太郎の長、鴉塟あそうに相談。


「そうですね。『ソファの上で痙攣けいれんして、ずり落ちた』という感じにしましょう。」


悪鬼と霊鬼、揃ってノリノリ。


「秋葉原の方は、どうなったのかしら。」


「髪皮屋と後来屋こうらいやが見張ってますヨ。」


サラッと恐ろしいコトを言う長たち。妖怪対策室員など、見える人は慣れているのでヘッチャラ。


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