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一線  ~譲れないもの~  作者: 醍醐潔
第一部 悪因悪果
16/99

1-16 片付けよう


隠り世から戻った朱里あかりとハラスー。一九屋いくやに顔を出し、番頭ばんとうに報告。


関係各所へ知らせるため、東京へ向かう。




「こんにちは。一九屋の丁稚でっち、朱里です。く斯く然然しかじかで参りました。」


「朱里、ほら見て。役所の人たち、頭から煙を出してるよ。」


「本当だ。ハラスー、どうしよう。」




新宿区役所、妖怪対策室の面面が目を回す。指名手配犯が潜伏していたのはナント、お隣の千代田区。


花園組に引き渡したデズモンド・リッパーは妖怪を食らうことで、その妖気を上書き出来る。加えて変身能力持ち。




「不死ってダケでも厄介なのに!」


「どうすりゃイイの。」


「ダメだ、三途さんずの川が見えた。」


「お婆ちゃんが手を振ってる。」




取り乱す公務員たち。その横で黙黙と、朱里が報告書を熟読。マル秘ファイルを開いても止めないのは、揃って現実逃避してるから。


スッと目を細め、手鏡サイズの虫眼鏡を出した。ジィっと見つめ、ハラスーを手招き。




「行こう、ハラスー。」


「うん。」




付箋にメモを残し、該当ページにペタリと貼り付け。それからファイルを閉じ、一目で分かるよう平積み。


ついでに机上のゴミを屑箱に、入りそうもナイので分別しながらポリ袋へ。天井裏から鼠が落胆する声が聞こえた、ような気がするが無視ムシ。



菓子パンや惣菜パンの袋、カップ麺の容器、お土産みやげと思われる菓子のから箱などなど、出るわ出るわ。ソレをサッサと片付け、ポポイのポイ。



朱里がポリ袋の口を括り、ハラスーがくわえて部屋の隅に移動。全開していた窓を閉め、フゥっと一息。




「お弁当も結構ですが、野菜もシッカリ食べましょう。それとファイル、メモを読んでください。」


朱里がペコリと一礼。


「お邪魔しました。」


ハラスーもペコリ。



ゴミを捨て場に持って行こうと思ったが、捨てちゃイケナイ物が入っているカモしれない。だから部屋に残して出た。






「どう? ハラスー。」


新宿区役所の屋上で、ハーラースーが対象を捜索中。




新宿駅は一日の乗降人員数が日本一多い駅。多くの電車が乗り入れ、東京近郊のみならず日本を代表する、巨大ターミナル駅。


東口には歓楽街や、多くの商業施設が集中。西口には東京都庁を筆頭に高層ビルが林立。オフィス街が形成され、利用客が集中する要因になっている。




「やっぱり歌舞伎町だね。日当たりと風通しの悪い、ビルかマンションの一室。急ごう、朱里。」


「日が暮れる前に片付けようね。」


「そうだね。」




ビルからビルへ飛び移り、闇が噴き出す不夜城に到着。中心部へ移動すると直ぐ、三匹のコブラが頭巾を開いた。


同時にハーが北、ラーが南東、スーが南西に首を向ける。




「あった。行くよ、朱里。」


タッと駆け出し、ビルの谷間へダイブ。


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