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一線  ~譲れないもの~  作者: 醍醐潔
第一部 悪因悪果
15/99

1-15 被害者も同じ事を言ったハズだ


奉行所に行き、いろいろ判った。


一つ。髪皮屋はっぴやからの浄化依頼書に添付されていた闇。


太閤たいこうホールディングスの中堅社員から採取されたソレは、デズモンド・リッパーのモノだった。



二つ。添付されていた闇と、古い闇の分析鑑定依頼。


共通点は多いが別物と判定を下したが、同一妖怪の物と判明。他の妖怪を食らうか取り込むかして、妖気を上書きしたと思われる。



三つ。闇の源は明治時代、お抱え技師として来日したジャック・コールマンと判明。


ジャックは逮捕される度に自殺。大使館員に憑依して出国し、数年後に再来日。同じ過ちを犯して自殺。他の大使館員に憑依して出国し、数年後に再来日。


コレを繰り返す事十三回。



四つ。妖怪出入国記録に無かった理由は入国時、デズモンド・リッパーが人間だったから。






「妖力分析鑑定機って凄いね。」


「うん。」


と答えたものの、浮かない顔をするハラスー。






ジャック・コールマンは死亡する度、白人種に乗移って出国。融合しなければ引っ掛からない事を知っていたか、全くの偶然か。


いつ不死になったのかは不明だが、ジャックは変身能力を持っていた。デズモンドの前、ブライアン・パーカーの出国記録が無い事から、


日本国内に潜伏していたのは確かだ。






「ねぇ朱里あかり。たった二か月で、あんなにドロドロになるかな。」


「生きたまま食らわなければ。いや、それにしても。」


「でしょう? 離れてたから断言できないケド、軽く千は超えてるよ。」


「毎日一日、十七体以上・・・・・・。直ぐに戻ろう。おさ番頭ばんとうに報告してから、妖怪対策室に。」


「そうだね。」






プクク、この国の妖怪は甘いな。オレ様が不死だと、変身能力を得たと知らない。闇さえ残っていれば何度でも、どんな姿にもなれる。


さぁて、そろそろ。ん。なぜだ、どうなっている。妖気を通さない容器など、袋など在るワケが無い。なのにナゼ破れないんだ。



「違う! 再生できないんだ。」


「へぇ、もう気付いたの。」


鴉虎あこが微笑む。






悪太郎の長で窆氶寺へんじょうじの住職、鴉塟あそうは引退した死神。鴉虎は相棒。その爪には死神の鎌と同じ、魂を狩る力がある。


魂を一時保管するファイルも、鴉塟の力が込められている特別製。






「出せ、助けてくれ。頼む。オレに出来る事なら何でもするから、だから助けて。」


身動き出来ない魂が、恥じも外聞も無く命乞い。


「被害者も命乞いしたハズだ。」


そう断言し、首からげたポシェットに袋ごと入れた。


「戻る前に知らせよう。」


新宿区役所、妖怪対策室へ。






悪太郎は清掃屋。隠り世には『回収および廃棄物処理』で届けている。


処理方法そのいち、暴食獣アニスの血肉となる。その、小型飛竜ドラの血肉となる。そのさん、焼却処分される。以上。


勿論もちろん、選べない。






「こんにちは。く斯く然然しかじかでデズモンド・リッパーの協力者、ダミアン・ジョーンズの魂を切り取りました。むくろは秋葉原の廃屋はいおくに転がってマス。」


鴉虎はニャっと笑い、尾のまむしは頭を上げる。


「エッと、はい?」


端折はしょらずに順を追って、説明してください。


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