表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一線  ~譲れないもの~  作者: 醍醐潔
第一部 悪因悪果
14/99

1-14 ご立腹


区役所職員でも警察官でも、妖怪関係部署に勤める人は見える人。半分以上は憑物筋、次いで陰陽師おんみょうじ巫覡ふげきの末裔。


臨死体験者は少数派。



憑霊には、一時的に他の霊が乗移る『憑き』の現象。遺伝的、伝染的に家系に伝わる『持ち』の現象がある。


乗移る動物霊は狸、狐、蛇、猫、猿、犬、河童かっぱなどイロイロ。



憑いた人をわざわいから遠ざけようとアドバイスするが、基本的に悪さはシナイ。






「諦めろ、桜ん坊。」


警察省、妖怪犯罪局に勤める狐憑き。鵯一ひよどりはじめがニヤニヤしながら登場。


「うるせぇ、ピーチ。」


本庁のチェリーが毒づく。




警視庁の佐久さくと、警察省の鵯は喧嘩けんかするホド仲が良い。狐同士は喧嘩せず、半分呆れながら見守っている。




「イチャイチャするなら外に出て。あっ、その前に教えて。どうして警察は証拠のハンカチ、妖怪犯罪課とか妖怪犯罪局に渡さず、捨てちゃったの?」


可愛く言っているが、迫力満点。


「それは・・・・・・。」


「その・・・・・・。」


チェリーとピーチが見合う。


「ねぇ、どうして。」


ハラスー、ご立腹。




三匹のコブラが体の前面を直立させ、頸部を頭巾状に広げて威嚇いかく。胴から生える蛇たちもスタンバイ。朱里あかりは黙って、チェリーとピーチを見つめる。


蘭望らんぼうと一が慌てて助けを求めるが、憑いている狐もダンマリ。




「答えられないんだね。」


朱里が呟く。


「妖怪登録法が施行されたのは明治元年。人の世では国つ神が御力をふるわれ、一妖残らず登録済。使用された精密機械は、あのアンリエヌ製。」


ゴクリ。


「人の世の最新機器より高性能。理由は、言わなくても解るよね。」


コクコク頷く、チェリーとピーチ。


「ココに載ってナイの、オカシイよね。区役所に連行された妖怪は皆、パスポートを所持する外国妖怪だった。」


二人ともポッカァン。


「この闇の主はオハイオ州出身、デズモンド・リッパー三十五歳。新宿と渋谷の妖怪対察室に圧力がかかる前に、花園組と千駄組が仕置屋に依頼した。」


二人の顔色が同時に悪くなる。


「多分これまで、複数の仕置屋が仕事したんだ。なのに生きてるってコトは不死。」


キョトン。


「朱里、奉行所に行こう。在日なら妖怪登録している。他の妖怪と融合しても、標本があるから大丈夫。」


「そうね。」


検索終了し、画面の右上にあるバツをクリック。


「失礼します。」






朱里とハラスーが立ち去った五秒後。



「エッ。証拠のハンカチって何だよ、チェリー。」


「知らないよ。ってか何で、入国記録が無いんだよ。」


「知らないよ。ってかコレ、マズイぞ。」


「マズイな。」




二人は花園組へ急ぐ。デズモンド・リッパーに妖怪用の手錠と足枷をかけ、取り調べるために。


しかし遅かった。チェリーは警視庁、ピーチは警察省に戻って上司に報告。緊急対策会議が開かれる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ