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一線  ~譲れないもの~  作者: 醍醐潔
第一部 悪因悪果
10/99

1-10 この度の事


隠り世は強腰だが、人の世は弱腰外交。そのツケを払わされるのは国民。



人の世で戦える仕置屋は、被害者か遺族からの依頼が無ければ動けない。


つまり人の世で、依頼される前に動けるのは特別指定妖怪だけ。






「こんにちは。」


新宿区役所の妖怪対策室に清掃屋、赤目あかべおさが現れた。


青白あしろさま。」


室長、大慌て。






青白は青大将の白子しろこで、御白社おしろのやしろの主神でも在らせられる。


無神のほこらで冬眠中、ナゼか神格化して記憶操作能力と精神操作能力を得た。無毒だが巨大化すると、精神支配能力も使用可能。



『精神的外傷に苦しむ人を救う』ため、記憶操作能力を持つ妖怪を集めて飲み会を開き、その場で『赤目』を結成。現在に至る。






「不良妖怪による違法・・百鬼夜行、操作も調査も止められたトカ。横槍を入れたのは霞が関、いや永田町かな。」


「はい。多くの人間が犠牲になったのに、罰金刑で済ませろと。」


妖怪対策室の面面が、黙ってこぶしを握る。


「政治屋や外交官が混じっていれば、目の色を変えて動くだろうに。」


「・・・・・・ハイ。」


一同、唇をキュッと結んで涙を堪えた。


「鬼丸が上手いコトやるだろう。」


「そう、でしょうか。」


「鬼丸が政治屋相手に荒稼ぎするのは、長の鬼助きすけ大名だいみょう嫌いだからさ。依頼を受けた過激派の大半が、鬼丸グループだった。違うかい?」






複数の子会社を有する仕置屋、鬼丸は戦国中期創業の老舗。


『私怨による返報代行業』で届けている、金さえ積めばどんな依頼も受ける悪徳企業。鬼丸グループ売上一位。



鬼丸グループ売上二位は永田町御用達、昭和中期創業の『山王社さんのうしゃ』。裏取り調査せず処理するので、二次災害が多発している。日枝神社ひえじんしゃとは無関係。



鬼丸グループ売上三位は昭和初期創業、『怨霊組おんりょうぐみ』。裏取りはするが証拠を捏造し、追加料金を請求して依頼者を破産させる悪徳企業。



鬼丸グループ売上四位、江戸後期創業の『八丁堀』。裏取りはするが杜撰ずさんで、権力者からの依頼を中心に受託。






「このたびの事、首謀者は。」


「分かりません。」


「多分、近近ちかぢかまた起きる。一九屋いくやは歌舞伎町、悪太郎は秋葉原を調べ始めた。ハラスーも鴉虎あこも優秀だから、直ぐ何か掴むだろう。」






冥府の番犬、ケルベロスとして誕生したハラスー。兄姉によりエジプトに遺棄されたが、テュフォンとエキドナの間に生まれた怪物である。


コブラを食べて体質改善したので、毒にも闇にも強い。



対する鴉虎は合成獣。


韓非子かんぴし難勢なんせいにある『虎の為に翼をくることかれ、まさに飛びてむらに入り人をりてこれを食わんとす』を参考にしたのか、翼を持った虎である。


尾はまむしなので毒に強い。






「歌舞伎町。」


三稜草みくりが呟いた。


「確か髪皮屋はっぴやさん、『念のため』と報告書を。」


諸且もろまさが端末を操作し、ファイルを出す。


「ありました。おや、この闇。」


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