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「私のメガネを通した世界」(インスタントフィクション)

作者: OvidiusⅢ

隣に座っていた人と、同じ電車の窓をのぞき込んでいることに気が付いて思いつきました。

色んなジャンルのゲームをかじっていることがバレますね、、

 私は大手ゲーム会社に勤めて2年目になるゲームデザイナーである。


 最寄りの駅から10分に構えており、駅と会社の間には大きな公園がある。


 公園を通り抜けた方が近道と言うこともあって、よく同僚と息抜きにベンチに腰掛けに来ている。ただ、この公園では少し不思議なことが起こるのだ。


 前回、製作チームとお昼の息抜きに来ると、目の前に大きなドラゴンがいて、その背中に勇者たちが跨っていた。初めて見たときは全く訳が分からなかったが、今ではどうと言うことはない。


 傍で様子を見守る神々は不安と期待が入り混じった表情を浮かべていて、ほうきを持った魔法使いも、顔を伏せたままだが、ちょくちょく勇者たちの表情を伺っている。これも見慣れた光景だ。


少し視線をずらすと、大きな怪物が仁王立ちしており、腕やら足やらに勇者が必死にしがみついている。また、ジャングルの奥地には囚われた姫がいて、幾人かの勇者が救出を試みている。私たちは辺りを見渡しながら、不思議な公園の真ん中にいた。


 また別の日に、製作チームと残業終わりに公園へ立ち寄ると、辺りはおどろおどろしい雰囲気に包まれていた。見上げると沢山の目玉がまばたきを繰り返しながら見ている。私は怖いのにめっぽう弱いので後輩の腕にしがみつき頭を擦り付けていた。そうでもしないと、ぼんやり見える繁みから誰ともわからぬ腕に引っ張られて夕暮れのかなたへと連れ去られると感じる。ときおり、騒がしい息遣いと共に何かとすれ違ったり、聞いたこともない呻き声が聞こえた。公園に詳しいベテランの先輩が帰り道まで連れてってくれた。もう残業明けに公園を通るのはやめにしよう。


 またまた別の日に、製作チームと夕暮れ時に公園に立ち寄ると、戦争の真っ最中であった。沢山の兵士が陣形を組み、互いに協力しながら相手の陣地へと切り込む。辺りは喧騒に包まれ混乱していた。味方なのか敵なのかもわからずに繰り広げられる地上戦を、私たちは固唾をのんで見守った。



 私はあまり人と喋らないタイプで、会社でも人に頼まれた仕事を言われた通りこなす毎日だった。しかし、チームで不思議な公園に出かけるようになってから、自分に自信が出てきて、私も輝き始めた。


 何はともあれ不思議な公園に感謝である。

 

自分なりの感性は、他人と共有して初めて、その輝きが分かると思います。

ひとりでいる時間も必要ですが、人と会うことも必要なんでしょう。

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