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もう1つの城

 数日が立って、私達の移動の日がやってきた。

 現在、私は馬車から体を外に乗り出して外を眺めている。


「見えたぞ」


 何故か魔王自ら馬車を操っているのは突っ込みたいけれど、他に適任者がいるかときかれるとよく知らないから仕方ない。

 ガズさんの城から出発して半日ほどで、目的地が視界に入る。


「なんというか……不気味なことになってるわね」

「仕方がないだろう。私以外の魔王の素質を持つものが現れなかった。城だけをダンジョンレベルに改造するならともかく。私が作りたいのはあくまで平和だ。城を使うなら城下町なども繁栄させて、いつか平和の象徴の1つとなるような場所にしたい」

「レベルの高いわがままを言ってくれるわね。あそこに住むの私なのに」

「そこに関してはすまないと思っている。帰る手はずが整ったら必ず伝えること改めてここでを約束しよう」

「そうして頂戴。みんなのためにね」

「わかっているさ……そこで自分ではなく他の人に行くのは、案外人を束ねる素質かもしれんな。時には冷酷な判断もしなければならないが、1人ですべてを持っている必要もない」

「そうね。ガズさんでできてるのだしね」

「それをいわれる痛いな。そろそろ、悪路になるから中の席に座っていたほうがいい」

「わかったわ。ついたらまた教えて」


 私はそう言って馬車の中へと戻る。

 現在、この場所には私一人で乗っている。

 体の大きさなどの都合で、他の3人は別の馬車に乗っているわけだ。

 更に少しして揺れる馬車がどこかに停車する。


「ついたぞ」


 そう言いながらガズさんが馬車の扉を開けた。

 私が外に出ると目の前には城がある。


「建物自体は管理していたが中の細かい掃除等はまだだ。それと防衛のための設備も、使ってないこともあってあちらの城に集中させてしまっていた上、あちらの数で揃えていたから少し待ってくれ」

「大丈夫よ。それにいきなり渡されても全部は使えないもの。ひとまずは、掃除と城自体の整備からね。それが終わってから城下町ってところかしら」


 城を背にするように馬車の反対側へと移動すると、そこには元は誰かが住んでいたであろう場所が存在している。

 所々に家の壁だったような石の壁が立っていたり、崩落して瓦礫になってしまったような場所もある。

 唯一原型を保っていると言えるのは墓地だけれど、そもそも原型からして不気味なので現在の景色でも違和感がなくなってしまっていた。

 現在城の方は、念のためにガズさんの部下の兵士が確認に入っている。


「ガズさん。この世界で教会ってどんな役割があるの?」

「神聖なる場所だな。神官達が礼拝する場所にもなっていて、婚姻の儀も王族でなければ教会で行う場合が多い」

「ちなみに、魔族にとって教会は?」

「かわらん。まあ、ただ神も複数いて人族に崇められている神と魔族に崇められている神が存在するから、町や国に複数の教会が存在することが普通だな」

「そんな感じなのね。神様についてもあとで色々知らないと。改めてやることが山積みだわ」


 私は思わず頭を押さえる。

 そんな時、城の中から2人ほど鎧をきこんだ兵士が戻ってきた。


「魔王様」

「それだと、今後わからんぞ。私のことはガズでかまわん」

「は、はいっ! ガズ様。場内の確認は終了しました。問題ありません!」

「ご苦労。それでは、一先ずお前たちは倉庫に入れる予定だった荷物を頼む」

「わかりました!」


 二人はそういって行動に移っていった。


「それじゃあ、私も中に入らないとね。とりあえず、どこ確認しないといけないかしら?」

「王の間と食堂あたりは確認しておくといいのではないか? それと、自室として使う場所だな。可能ならば、積極的な使用をしたくないが。かならず必要になるであろう地下牢の耐久度も改めて確認してもいいかもしれん」

「そうね。それじゃあ一先ずは王の間と部屋からかしら。私の世界では衣食住という大切な3つの要素があるからね」

「ほう」

「衣服・食事・住居よ。服も早く着替えたいの。持ってきてるのよね?」

「もちろんだ。遅くなってすまない。何分、私の部下は人型ではない物も数多くてな」

「まあ、無理言った部分もあると思うからいいわよ。だから、まずは住める状態にして着替えをする。そしたら牢屋の確認と掃除ってところでやるわ」

「この城の主はすでにミヤマ君だ。協力者として、私も働くことにしよう」

「そう。じゃあ早速いちばん重要な仕事するわよ」

「任せたまえ!」


 10分後。城の王の間に私達は移動した。

 ひとまずの移動してきたメンバーである私と美香と美奈と敬がこの場に揃っている。そして地面には敬を運ぶのを手伝ってもらったガズさんが腰を抑えて膝をついている。


「ぐぅっ、私ももう年ということか」


 何歳か知らないし鎧でさっぱり予想もつけられないから、私はノーコメント。


「えっと……ガズさん。ちょっといいかしら?」

「なんだ?」

「この城にくる私達以外の人はどれくらいいる?」

「そうだな。ひとまず使用人数名に、君たちに対して色々を講師と補助を任せる奴らが4名はいる」

「そうね」


 私はこの城の間取りがかかれた地図を見つつ唸る。

 王の間は2階の中心にあって、その左右には大きめの部屋が2つある。これは食堂や会議場所として使えそう。

 厨房は2階には小さい物で1階には大きめのものがある。その横の大部屋は食堂で決まりね。

 そうなると西と奥に並んでいる部屋を使ってもらうのがいいか。


「ひとまず、それじゃあ使用人の方は1階東の奥の通路にある部屋を使ってもらうわ。それで私は王の間と隣接してる部屋があるしそこに住めばいいわね」


 王の間の奥に少し広めな部屋が存在していた。多分、ゲームとかでもたまにある王とか姫の部屋って感じだと思う。ガズさんもたまに王の間の奥から出てきたから、それでいいか。


「あとは皆と講師の人だけど、要望はある?」

「あたしはどこでもいいけど。2階に誰もいなくて深山に何かあったらって考えるとあれだから。西奥の部屋使わせてもらおうかな」

「わたしは美香と同じ部屋でいい?」

「あたしはいいけど、かなり長い間になるかもしれないけどいいの?」

「もしもの時は、変えてもらえばいいし」

「まあ、そこは任せるわよ。敬は……どうしようかしらね」

「俺もちょっと自分で決めにくい」


 ちゃんとまだ移動手段を確保できてないのよね。


「ガズさん、アルラウネって人化とかできないの?」

「できる個体は少ないな。しかし、根を操れるようになれば、床にはらなくてもあるけるぞ」


 何故か蛸の動き方を想像してしまった。


「じゃあ、ひとまずそれまでは、西の部屋の日当たりがいい場所でいい?」

「うん。それでいい。水琴に任せた」

「私の部屋でもいいけど、王の間の奥だと日当たり悪そうだからね」


 部屋とこれからの行動は大体決まった。


「じゃあ、ひとまずは部屋いって着替えてから、王の間に再集合して。ガズさんには悪いんだけど、それぞれの部屋に服とか部屋に必要そうなもの選んで運んでもらえる?」

「任せてくれ」


 私たちはそれぞれ予定している部屋へと移動を開始した。


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