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ある日、一人の錬金術士が山を越えて町へやって来た。


その錬金術士はは世界で一番固いと言われる金属を造り上げた。イファと名付けられたその金属の製法を手に入れ武器を作ろうと、多くの国々が争った。だが、彼は自分の造り上げた物が戦争に使われることを疎み、逃げ出した。彼は自分の力で噂を集め、世界の果てと言われる山脈を抜けて学者達の住む木へとたどり着いたのだ。


『管理人』を名乗る少女は彼と会い、大陸の話を聞いた。

そうして、皆に伝えた。


「この地に才あるものが集まっていることが知られるようになってきました。山を抜ける方法も生み出され、今後、誰かの研究成果を狙って国が攻めてくることもあるでしょう。」


そう言い、管理人の少女は笑った。


「今私たちが住んでいるのが木だと知られないよう名前を『砦』とします。資料や文献は全て砦の中に入れてください。そして皆さん。町が滅びても塔の中に入れば絶対に害されないよう、守るための知恵を出してください」


木の中に住むという目標を達成してバラバラになりかけていた学者達の心に、再び、火がついた。




砦と呼ばれるようになった木を壁で囲むように、枠組みが作られた。そこには最強金属イファが使われた。上部には全く同じ色に塗られた布が用意され、必要になったときは暖かい空気を入れて膨らませ、砦を覆えるよう工夫された。全てがイファで覆われていると思わせ、攻撃する気を削ぐためだ。


扉はなくし、出入りは地下茎で繋がったもう一本の木を育て、その中から地中を車輪箱に乗って移動することにした。

砦の周りの町に住む者は、危険が迫ったときにすぐに逃げて初めの木の分身とも呼べるその木の中へ避難するよう何度も練習した。砦の遠くへ住む者は地下に穴を掘り、木へと繋げた。

備蓄できる食料はその木と砦に蓄えられた。




やがて国々が連合して兵を出した。

兵を半数に減らしながらも大挙して森へたどり着いた軍勢は、高くそびえる塔と周りにある廃墟となった村を見つける。


軍隊はそこに居を構え一月かけて扉を探したが、どこにも入り口を見つけることはできなかった。

偶然巨大な鳥に捕まり逃げ出した兵の一人が、空から見てその建造物が卵の上半分のような形をしていることを発見したが、やはり扉らしきものは見つからなかったという。


軍隊は壁に向けて攻撃をしたが、イファで出来たその壁には投石機や、考案されたばかりの火薬ですら傷ひとつつけることが出来なかった。

軍隊は戦うことも、それどころか住人一人すら見つけることも出来ずに帰還した。

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