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屋上の彼女

作者: 海咲つかさ

 高校二年…さえない中学校生活からの脱却で、高校デビューをして早一年。高校に入れば何か変わると思っていたが、考えが甘いと痛感した。

 高校デビューを自分の中で、はき違えていたからかクラスでは浮いていて、屋上で、一人で昼食を食べる日々を送っている。僕の中で、金髪、眼帯、ピアスというのは、かっこいい組み合わせだったのだが、それは世間一般的には、ありえない対象だったらしい。自由な校風という校則の緩い進学校を選んだにもかかわらず、学校には行くが、授業には出ない教師の間では、問題児扱いされている。


 そして、二年生になり、いつものように、屋上で過ごしていた。昼休みの時間ということもあり、グラウンドでは、生徒が楽しく遊んでいる。屋上で過ごすのは、僕くらいで、多分、屋上に出入りできることを知っている人も少ないだろう。

 新学期になり、初日、いつものように何事もなく一日が終わると思っていたが、いつも僕しかいない屋上に女子生徒がいた。後ろ姿だけだが、すごくスラっとしていて、見るからに美少女を感じさせる雰囲気を醸し出している。


 扉を開ける音で気づいたのか、振り返り、僕と目が合った。ほんの数秒間、時間が止まる!!!


 透き通るような白い肌、吸い込まれそうな大きな瞳、風でたなびく長い黒髪、言葉を失うほどの美しさだった。気づけば、僕は、彼女の姿に見惚(みと)れていた。


 「あの、もしかして姫野(ひめの)先輩ですか?」

 彼女が口を開き、我に返った。

 「あ、はい。そうですけど、何で俺の名前を?」

 「友達に教えてもらったんです。そして、これを渡してほしいって」


 そう言って、彼女から便箋(びんせん)を受け取る。ハートマークのシールで封をしてあり、明らかに可愛らしい女の子らしい便箋だ。もしかしてと期待が高まる!!!


 「じゃあ、私はこれで―」


 そう言って、彼女は、一礼して、僕の前を通り過ぎて言った。

 「待って。君の名前は?」

 とっさに目の前を通り過ぎる彼女に声をかけた。




 「私の名前は、―――――秘密です」


 彼女は、口元に人差し指をだして、微笑んだ。


 そんな彼女の姿に、僕は、また見惚れていた。

 


 

 

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