表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/14

「ごきげんよう、ユーリ。今日は何をして過ごしていたんだい?」


夕刻。

食事の準備がされている中で、ウィルが部屋を訪れる。


「あ、ウィル。お疲れ様。今日はイザベラにこの世界の国の文字を教えてもらっていたのよ」

言葉は通じるのに、文字はまるっきり違う。変な記号が並んでるみたい。

いつ戻れるのかもわからないから、暇つぶしに本でも読めるように文字を習う事にした。

「そうか、少しは理解できたか?」

「ううん、全然。まだ記号にしか見えないわ。繰り返し見て覚えていくしかないのかも」


お食事の用意が出来ました、と席に座る事を促される。ウィルは手馴れた手つきで椅子を引いて私を座らせた。レディーファースト。紳士だなあ、と感心する。

初めてウィルにやってもらったときは、どうしたらいいかわからなくて座れなかった。

あっちの世界ではやってもらったことなんてないしね。


4人座れそうなテーブルに対面で座る。目の前にはテーブルからはみ出そうなくらいの豪華な食事が並んでいる。

「ではいただこうか」

「いただきます」

と、魚のムニエルみたいな料理をいただく。

うん。美味しい。

洋食ばかりだけど、口に合う食事で安心した。


「そうだ、ユーリ、明日からはこの城の敷地内であれば外へ出てもよくなった」

「へ、ほんほうれすか?(え?本当ですか?)」

口の中に残っていたため、変な言葉になってしまう。なんて行儀が悪いんだ、わたし。


「ああ、王と王妃にも報告し、さらにここの魔術士長と調べた結果、ユーリはこの国に危害を及ぼす者ではないと判断された。明日からはここではなく食堂で王達と共に食事を取ることになった」


食べようとしていた手が止まる。

「おう・・さまと食事ですか」

いやいや、こんな食事のマナーもろくにない女が席を一緒にしてもいいんだろうか。

困惑しているわたしを見て、ウィルが微笑む。

「気にすることはない。王も王妃もユーリの話が聞きたいと、大変興味がおありのようだ。そのままで大丈夫だ、悩むな」

「そうですわ、ユーリ様。国王様も王妃様も心優しい気さくな方です。ぜひ、ご一緒に」

畳み掛けるようにイザベラも話す。

「は、はい。では明日から一緒に」

そうはいいつつも、明日からは食事の仕方をおしとやかにしよう、と心に決める。


「あと、イザベラから聞いた。ユーリは25歳のれっきとしたレディーだったんだな」


今度はぐほっ!と食べ物が出そうになる。

いけない。今から食事の仕方を改めなくては。


「い、いつそれを」

むせるのを抑えつつ聞く。


「朝ユーリが朝食を済ました後だ。申し訳ない。てっきり年下だと思っていた。私よりも5歳も歳が上だったとは知らずに接していた」


下げた後に報告してたのか。報告早いよ、イザベラさん!!

「い、いいんですよ。別に気にしてないし・・・。いずれわかることだし・・・」


「結婚相手もいたと聞いたが、なぜ駄目になった?」


け?結婚相手?


ああ、そうか。この世界と恋愛事情がちょっと異なるんだったな。

2日前にイザベラから聞いた情報によると、ここでは結婚を前提にしないと付き合うことは出来ないらしい。上流階級に行けばいくほどその縛りはきつくなるという。親が認めた相手でないとお付き合いはできないとか。

「あ、まあ、性格の不一致といいますか、気持ちのすれ違いといいますかね。まあ色々とあるんですよ。付き合うのも別れるのも自由ですから、あちらは・・・」

そういえばなんで別れるのか理由も聞かずじまいだったな。

って今更だけど。

「そうか。見る目ないんだな。そっちの男共は」

「へ?」

「ユーリは性格も、外見も悪くないと思うが。なにが物足りないんだ?・・・わからない」


さらっと恥ずかしげもなく言うもんだから、身体が一気に熱くなる。

心臓の高鳴りもとんでもない。聞こえてしまいそうだ。

「そ、そう。そんな事言われたの初めてだわ・・・」

「そうなのか。ユーリの話を聞いていて、とても知能の高い優秀な人種だと思っていたのだが、そういう所は劣っているのだな。・・・残念だ」



・・・そうだね。もう少しストレートに言葉を出せたのなら。

もっと違ったかもしれない。

前の彼と付き合っていて、確かに自分の気持ちを伝える事は少なかった。

私も彼も。

それでも私はあまり不安にならなかったけれど。

彼は違かったのかもしれない。

もう少し伝える事が出来ていたのなら・・・・。


・・・やだ。涙が出ちゃう。

別れたときは涙ひとつ出なかったのに。なんで。



楽しい食事の場でしんみりなんかしちゃいけない。

涙を見せまいと、下を向いた。


止まれ。止まれ涙。


そんな俯くわたしをウィルはじっと見ていたようだ。


「泣くな。忘れろ。そんな男のことなど。ユーリにはもっといい男が出来る」


「・・・ありがと。嘘でも嬉しいよ」


「嘘ではない。必ず出来る」


そう言える自信がどこにあるのか、わたしにはわからないけれど。


不思議とその言葉に救われた気がした。

文字で表現するって難しいですね・・・。

駄文、乱文の多い物語ですが、こんなのでも見てくれる方がいて恥ずかしいやら、嬉しいやらです。本当にありがとうございます。

才能がないなりにあがいてみますので、これからもよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ