プロローグ
「・・・ごめん、悠里、別れよう」
2年付き合った彼から言われた言葉。
なんとなく、気付いてはいたんだよね。どことなくよそよそしくなって、会う回数もめっきり減って。
ここ2ヶ月ばかりは連絡もなかった。
久しぶりに会いたい、話がある、と連絡があって会った最初に言われた言葉。
「・・・・分かった。しょうがないね。今までありがと」
それしか言えなかった。
「話はそれだけ。じゃあ、気をつけて。さよなら」
なんとあっけない会話なんだろう。彼、いや元彼はそれだけを言うとわたしの前からいなくなった。
わたし、野中悠里。25歳。
高校を卒業して、地元の小さな会社で事務の仕事をしている。
その会社に営業に来ていた彼と、仲良くなり付き合うようになって2年。
周りの友達はだんだんと身を固めていき、そろそろわたしも・・・なんて考えていたけれど。
まさか、こんな形になるとは。
「はあ・・・。これからどうしよ・・・」
もう25歳。これから相手がまた見つかるんだろうか。
容姿もたいしてかわいくもない、自分でもびっくりするくらいの淡白な性格。
本来なら別れ話が出ても、好きなら泣いて、すがりついて、「別れたくない!!」なんて言うんだろうけど。
---別れたいなら、しょうがないよね---
と、自分の気持ちが固まってしまった。
「・・・帰ろう・・・」
いつのかまにか、陽は傾き、空がオレンジ色になっていた。
「キレイな夕日だな。太陽がわたしを慰めているみたい」
彼に呼ばれたのは近くの公園だった。とぼとぼと公園を出る。
ふう、とため息を付き俯いて歩く。
その時だった。
ガラッ!!!と足元から崩れていく感覚。
「えっっっ!!!!?????」
と言葉を発した瞬間。
わたしは意識を失った。