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歩行と親ばかと呆れと

1話1話が短くてすいません

 転生してから1年ぐらいたつとよちよちとだが歩けるようになった。

「まぁダイナ、ダイナ、ジュンが立ち上がったわよ。一人で歩いてるの!!」

「おお、シャニー、この子はきっと立派に育つよ。それにしてもシャニーに似てかわいいじゃないか」

「いえいえ、ダイナに似てイケメンだわ。将来が楽しみ」

「シャニーの可愛さが引き継がれたらどんなに素晴らしい子になるか」

「まぁダイナったら」

 どうもこの夫婦はバカップルだったということが発覚した。最初の内は言葉の壁があったが最近は微妙に発音もできるようになった俺は二人の会話を聴いて爆発しないかなぁとか思う。

 一人歩きができるようになったので、家の中を自由に歩き回れるようになった。2階など無いので落ちる心配もない。この家は割と広く、そして書庫がある。

 本に書いてあることは難し目の物ばっかりだが、前世の知識があるジュンには関係ない。外界の世界、この世界の秩序を理解すべく読み漁っていく。

「ねぇイリア、なんてあの子は優秀なんでしょう!!」

 ちなみにシャニーはその様子を見てイリアに親ばかっぷりを発揮、イリアは

「そうですわね、シャニーさん」と顔をひきつらせながら毎度同じセリフを言う。イリアも災難である。


 普通は怪しまれるであろう幼児の読書も親バカップルシャニー&ダイナのおかげで邪魔されることもなく知識を蓄える。特にお気に入りはやっぱり英雄譚である。このカフカス王国の建国者で、冒険者として全大陸に名をはせた勇者グランド・カフカス。素晴らしい剣の達人だった彼はこの地にはびこる害獣を切りまくり、人が暮らせるように整備した。内政能力もずば抜けていて、民衆は彼を賢き王としてあがめたらしい。


 また、魔法に関しても知識を集めた。魔法はこの空気中に存在しているマナを使って起こす魔術で誰でも使用できるわけではない。使えるのは全人類の50%ほど、パーセンテージは大きいが、その中でも魔術師と呼ばれるほど扱いに長けているものは3%程度であるらしい。また種類もあり、大まかに分けて火・水・雷・風・土・草という基本属性に、癒・呪という敵味方の状態に関与する魔法がある。後者の魔法は特に扱えるものが少なく全人類の0.3%しかいない。また呪の魔法はあまり好まれる物ではなく、それが扱える魔法使いは重用こそされるも、あまりいい評判を得ないようだ。魔法の才能は先天性が基本だが、稀に後天的に才能が開花することもあるらしい。通常は5歳の時に、町の教会に行ってどの魔法に適性があるか、適性がどのくらい高いか判定するのが習わしらしい。

 魔法とかロマンすぎるなぁ、使えるかなぁとか思う。


 さてこのような生活を5年ほど送った。5歳までには書庫にある本をすべて読破した。前世ではラノベしか読んでいなかったが、意外と専門書もおもしろいものだなあと前世での行いを後悔しつつある。またダイナが商人なので計算の勉強もさせられ始めたが、どうもこの世界の知識よりも前世の義務教育の方がレベルが高いらしく、計算は余裕だった。それを見たダイナやシャニーは

「さすがジュン、神童すぎるわ」

「そうだなシャニー、将来有望すぎて怖いくらいだよ」

「お父様やお母様が喜んでくれて嬉しいです」

「まぁジュンったら……」

とシャニーに至っては涙ぐむレベルである。ちょっと引いたのは内緒だ。

「ダイナ、そろそろジュンにも魔法適正の有無を確認する試験を受けさせましょう」

「ああ、そうだな」

「試験ですか? お母様」

 俺は試験のことは知っていたが、一応純粋無垢な息子だ。ここは聞いておこう。

「そうよ、ジュン。試験と言ってもただただ魔法の水晶に手をかざすだけだから心配はいらないわ」

「そうだぞ、俺もシャニーも試験を受けたことがある。まぁ結果は魔法使いにはなれなかったがな」

 そういうとダイナはにっこりとする。魔法を使えなかった時はどういう気分だったのだろうか。悔しかったのだろうか。

「ジュンが別に魔法を使えなくても何も問題ないぞ。俺はそれでもジュンは自慢の息子だ」

「そうよジュン、ジュンは私たちの希望だもの」

「お父様、お母様……」

 親ばかとそれに応える息子の絵、ここに極まれり。脳内で実況しながら周りを観察する。イリアはもう見飽きたのか関心すら向けていない。

ありがとうございました

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