訓練と地味と忍耐と
みじかくてすんません
「さてこんばんは」
「こんばんは、校長先生」
昨日の修行では新たな練習を示唆されたので、大人げなくはしゃいで一日を過ごしていたら、もう夜でした。
さすが7歳児の身体、睡眠導入の速さはぴか一だな。
「では新しい修行をしよう」
「その内容とは……」
「焦ると身を亡ぼすぞ、まぁ仕方ないのじゃろうが」
「早く教えてください!」
「結構、地味なのじゃが…… 空気中にあるマナを自分の近くに集めて、凝縮して、それを次は可能な限り広範囲に伸ばす。という修行じゃ」
「マナをかき混ぜるみたいな感じですか」
「そうじゃな。できる限り遠くからマナを集めて、できる限り遠くへマナを放出する」
「それで魔力量が増えるんですか?」
「筋肉と一緒じゃ。動かせば動かすほど発達する」
「それって、かなり地味じゃないですか?」
「地味じゃな」
一気にテンションがガタ落ちする。正直、身体を動かすような修行がしたいのだ。きつくても良いが、つまらないというのは精神的にかなりやばい。
地味な基礎練習ってたいていの人が挫折するところだと思う。
「まぁやってみようの精神が大事じゃぞ?」
「はぁい……」
自分の体内から魔力を伸ばして、空気中のマナをからめとっていく。
できる限り遠くへ…… 遠くへ……
そして自分の方へ集める、そして纏める。小さく…… 小さく……
そしてまた発散させる。なるべく遠くへ…… 遠くへ……
できる限り遠くへ…… 遠くへ……
そして自分の方へ集める、そして纏める。小さく…… 小さく……
そしてまた発散させる。なるべく遠くへ…… 遠くへ……
できる限り遠くへ…… 遠くへ……
そして自分の方へ集める、そして纏める。小さく…… 小さく……
そしてまた発散させる。なるべく遠くへ…… 遠くへ……
できる限り遠くへ…… 遠くへ……
そして自分の方へ集める、そして纏める。小さく…… 小さく……
そしてまた発散させる。なるべく遠くへ…… 遠くへ……
できる限り遠くへ…… 遠くへ……
そして自分の方へ集める、そして纏める。小さく…… 小さく……
そしてまた発散させる。なるべく遠くへ…… 遠くへ……
「校長先生」
「なんじゃ?」
「飽きました」
「まだ30分と立ってないぞ?」
「すっごく飽きました」
「飽きてもまだ続けるのじゃ」
「伸びが実感できません」
「そりゃそうじゃ。まだ30分もやっていないのじゃから」
「もっと楽しい訓練は無いのですか?」
「むしろこれを楽しむくらいの気概が欲しいの」
「これを楽しむ人なんているんですか?」
「どこかにはおるじゃろ」
「校長はどうだったんですか?」
「楽しくは無かったが、毎日3時間はつづけたの」
「それで効果のほどは?」
「君と同じくらいの魔力量は持っておるな。あと魔力切れで戦場で死んでしまうというような情けない死に方をせずに済んだ」
「何年くらいしたんですか……」
「30年くらいかの」
「30年……」
「まぁ少なくとも後1時間は続けるのじゃ」
「ええ……」
「やるのじゃ!」
「はい……」
俺は夢の世界で睡魔との戦いを繰り広げながら、単純作業を繰り返すのだった。
ありがとうございます。




