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まな板と神様と転生と

はじめまして。不定期更新になりますがご容赦ください。

「よっちゃ~ん、起きて~」

 ん~ 誰か俺のことを呼んでいる気がする。

「あと5分だけ……」

「起きろぉぉぉぉぉぉぉ」

「うっわぁぁ」

 耳元でめっちゃ大きい声で叫ばれた。キンキンなる耳を抑えながら目を開くとそこは自分の知っている部屋ではない。

「ここ、どこだ……」

 まだ寝ぼけているのかもしれないなぁと思いながら、首を回すとそこには少女がいた。少女と言うか幼女と言うかは個人の基準によるだろう、身長は140cm程度、まな板属性だった。

「よっちゃん、やっと起きてくれたよぉ」

「あなた誰です?」

 まな板少女の方は俺のことを知っているらしいが、俺はこの少女を知らない。いや、親戚の子かもしれないが…… 白髪の時点で違うだろう。きれいな白髪である。

「私は神様だよ」

「ゼウス的な?」

「ゼウス的な」

 少女は自身を神と名乗る。中二病なのかな。

「あ、今、中二病とか思ったでしょ!!」

 え、どうしてばれた…… 

「私は神様なのは本当、リアルがちってやつ。で、ここは私の空間」

 相手はまだ神様と名乗るらしいが、否定するのも面倒だし、ここはこれを受け入れることにしよう。

「で、どうして私がその神様の空間にいるんでしょうかね」

 そう、相手が神様でも何でもいいんだが、いったい俺はどうしてこのような空間にいるのかが問題なのだ。今流行りの拉致だろうか。

「そりゃ、私があなたの魂を呼び出したからだよ」

「魂の呼び出し?」

「そうそう」

といって若干のどや顔をまな板を張る。見事なまな板のようだ。

「魂の呼び出しってどういうこと?」

「ああ、そうかよっちゃんは分からないのか」

っていうか今気付いたが俺のことよっちゃんとか言ってる。誰にも言われたことないな……

「分からないとは?」

「よっちゃんは苦しむことなく死んだんだよ」

「へ? 死んだ?」

「そう、死んだ」

「死んだってどういうこと?」

「暴走車にはねられて即死」

「いや、死因じゃなくてさ……」

 急に神様と自称するまな板が俺が死んだとか言い始めた。そんなわけはない。現に俺の体は今この場所に存在し、こうして動かしている感覚まである。これはますます質の悪い夢なのだろう。さっさと目覚めないかな俺。

「君が秋葉原の歩行者天国歩いてる時に、車がつっこんだんだよ、悪い薬を飲んでた運転手はいろんなところに特攻をかけて、多数の人を轢いたんだ。君もその中の一人だよ」

「へー」

 早く夢から覚めないかなぁとか思って俺はまともに聴かずに適当に相槌をうっている。

「で、君も後ろから轢かれたんだけど、君の場合はその時に一番最初に轢かれたからか、その後の人への衝撃を緩和して、結果として死ぬことだけは回避させたの。まぁ重傷であることは間違いないんだけど。そこで、神様である私は君の男気に感銘を受けて、異世界に転生させようかなと、よくあるラノベみたいなことをしてみようかなと思ったのさ」

「へー そうなんだー」

「あー、さては適当に相槌を打ってるね。信じてないんだ」

 あ、どうやらばれてしまったようだ。まな板は頬を膨らめてぶすっとしてる。ちょっとかわいい。

「まぁいいよーだ。困っても知らないからね。一応、転生時の特典だけしゃべってあげる」

 あ、怒っていても特典くれるんだ。

「といっても才能を付与してるだけだけど、人には才能がみんな誰しもあるんだけど、その才能の限度がかなり高くなっているよ。もちろんどれに才能があるかは自分で調べてね。あと前世になるのかな、榊原義恒自身の記憶も持ったままだよ」

そう、よっちゃんっていうのは榊原義恒さかきばらよしつねのよしつねからとったのであろう。

「はいはーい」

 俺は所詮夢だしと思って適当しているのだが、それは神様には気に入らないらしい。

「もう、知らない。転生スタート!」

 まな板がそう告げると急に体が重たく感じ、瞼が閉じてしまう。なんとなく眠ってはいけないような気がするのだが、三大欲求には逆らえない

「それでは素敵な転生ライフを」

 最後にまな板がそう言ったのが聞こえた。

ありがとうございました。

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