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夜回星

作者: 森川めだか

夜回星

          森川 めだか


 カユエルは料理酒の味を試した。「しょっぱ」波の味みたいだ。

とても酔えたものではない。

アルコールを揮発させて塩と分離させればどうにかならないか・・。まだ考えていた。

一人暮らしのこの男性宅には酒らしい物はない。自制しているのだ。

それは生活はもちろん、カユエルが俳優女優を目指す者どもが集まるテアトルに在籍していたこともある。このまま拍車がかかれば本番に舞台に立てなくなってしまう。

その上、カユエルは明日、人生で初めて教会へ行くのだ。以前から強烈な興味を持っていたプロテスタント教会だ。酔って行っては神の救いも上手く実感できないのではないか、という恐れを抱いていた。

そういう訳で、気の毒なカユエルは今、料理酒を飲んだのだ。

いつかぱったりやめられるさ。

明日はこの夏の一張羅の開襟シャツを着ていく予定だ。


4月2日


 伝道委員はYという腰の低い男性だった。

カユエルが行ったのは偶然、棕梠の主日という日で、あの有名な「エロイエロイラマサバクタニ」の場面で入りやすかった。

T教会は広い道路に面していて、ヴイーンヴイーンと車やバイクの走る音が聞こえてきた。半分開いた窓からUFOが上空に見える。これは「マザーコンタクト」と呼ばれている。

突如、地球の上部に取り付いたUFOから時々勝手な信号が送られてくる。それはどうすることもできない。

念のため、言っておくがこれはこの話とはさして関係がない。ちょうどその時期だった、というだけだ。

キリストが悲しんでいる、教会を見てなぜかカユエルはそう思った。ここには人がいるだけだ。キリストが残そうとしたものはキリストの教えであってキリストではないのではないか。

カユエルはミサが始まるまで礼拝堂の外の待ち所に留め置かれ、Yにもしばらく放ったらかしだった。

目の前にモニターがあって、今は子供の礼拝がされている。「今日は中学生二人しか来ていませんがね」とさっきYが言っていた。それももう終わったようだ。

「あの、もう入ってもいいんですか?」入り口の優しそうなおばさんに聞いた。

「もちろんですよ」

礼拝堂に入った。まだ中には人は少ない。

手持ち無沙汰だったのでカユエルは聖書を開いた。

「私の生涯は煙となって消え去る

骨は炉のように焼ける

打ちひしがれた心は、草のように乾く

わたしはパンを食べることすら忘れた

わたしは呻き 骨は肉にすがりつき

荒れ野のみみずく 廃虚のふくろうのようになった

屋根の上にひとりいる鳥のように

わたしは目覚めている」

それがカユエルが初めて見た聖書の一節になった。

キリストの教えに授かっているだけで満足だ。カユエルは深いため息を吐きまた礼拝堂の中を見回した。

ここが魂の家なのだろうか? 僕の?

徐々に人が集まってき、Yも聖書、詩篇、賛美歌の三点セットを自分のカバーに入れてカユエルの隣に座った。しばらく待つと、牧師とお付きの女が入場してきた。

始めにオルガンの音が響き、それは汽笛のようで真青な海を連想させた。

お付きの女がまず式次第のような物を読み上げ、ミサはその流れに沿って、賛美歌を歌ったり、詩篇を立ち上がって読んだりした。

牧師の話が始まった。

「エロイエロイラマサバクタニ」とは他人のためになんだろうか? 説教を聞きながらカユエルは自分で考えた。

説教によると、キリストは死の間際にも聖書の言葉を語ったという。「裏切られたことはない」と、諳んじて。

神さまによってのみ救い出される、か。カユエルは前を見た。

「何か」が氷解するまで、一人一人が十字架にかけられているようなものだ。

キリストを幼な子のように、いつくしみはかなき・・。

恥は罪なのだろうか、罪は愛なのだろうか。

牧師の話が終わり、カユエルは紹介は不要と事前に言っていたのに最後にYに紹介されてしまった。

退出する時、「ようこそお出でくださいました」とおばあさんに言われた。

カユエルも厳粛な面持ちで頭を下げた。


 カユエルは教会から歩いてそのまま直接その足で、テアトルに行った。別に稽古がない時も楽しいのでここに来ている。

ディディアンがいた。仲良くしている団員で、可愛い女性だ。

「どうだった、教会は」

教会に行く話をしたのはディディアンだけだ。

「いや、よかったよ」さり気なくディディアンの隣に腰を下ろす。

「信仰っていうのはね、自分を正しいと思っている人、を許すってことなんだ」

横から見ても可愛い顔だ。

「今度、近所でお祭りがあるね。行かない?」

「あら、誘ってくれるの。いいの? クリスチャンがお祭りなんて」

「いいのさ」カユエルは女性に慣れていないので恥ずかしがりながら答えた。

「行くわ」

それで図に乗ったのか、カユエルはディディアンの頬に顔を近づけた。

「あの団長つまらないから二人で作ろう、旗揚げだ!」

「劇団ミノタウロス」ディディアンもひそひそと応じる。

「劇団ミノタウロス! そうしよう、二人でも結構だ。脚本はどうしようか、二人芝居だ」

二人でグータッチをした。ディディアンの手が温かかった。

 帰り道、「キリストの脚本を書いたらどうだろう」とカユエルはディディアンに言った。

「いいわね、それ」ディディアンはウインクした。


 部屋に帰ると洗濯機の洪水が起こっていた。洗濯物が放り出されている。

茶色く汚れた雨の日の下水道のような音をさせていた。

カユエルは急いで元栓を閉めるとびしょ濡れになった服をまた洗濯機に放り込んだ。


 海が近すぎる土地、むせかえる潮風。

ノースアジアのベイフロアにはマザーコンタクトの宇宙人も興味がないのだろう。

「来週はイースターか。どうなってんだ。僕は申し子なんじゃないか」カユエルはキャベツ千切り添えのミートソース大盛りを食べながら一人ごちた。ディディアンとも、神とも上手くいきそうだ。

尖った雲と海。

さかしらに波が立っている。

外の海には夕靄が出ていた。


4月9日


 人はどんな時にも背徳の感情を持っているのではないか。今週もまた教会に来た。

Yと挨拶をし、他の人とも目礼をし、先に勝手に礼拝堂に入ることにした。今日は何といってもイースターだ。

「あの・・、何を持っていけば」

先週とは異なるまた優しそうなおばあさんに話しかけた。

「ああ、これ・・、聖書と詩篇と賛美歌・・ゴホ、ゴホ」おばあさんは話しながら上品に激しくせきこみ始めた。

「ごめんなさいね、せきこんでしまって」顔を真っ赤にしてまだせきこんでいた。カユエルは会釈をしてその三つを持って礼拝堂に入った。

礼拝堂の中の席に座ったカユエルはまた暇つぶしに聖書を開いた。今日はイースターだけに人も多いみたいだ。

聖書の最後の言葉。「然り、わたしはすぐに来る」。

アダムとエバには父母がいたのか? 牧師の話が始まってもカユエルは勝手に考えを進行していた。説教には謎のことが多い。まず、父母というが、アダムとエバには父母がいたのか?

教会に来るとなぜ、「罪」という言葉が浮かぶのだろう。それは自分の考えが罪だらけかも知れない。

聖書を開いても詩篇を開いてもどうにも不思議なことがある。主というのは神にもキリストにも当てはまる言葉なのか? それすら知らない。

詩編の最後。「息あるものはこぞって主を賛美せよ

ハレルヤ」

早く楽になりたい。カユエルはため息を吐いた。

若き人が来なかった。今日はイースターなので先週、Yさんが「ミッション系の近くの高校生が来る」と言っていたので、「知り合いになれるかも」という下心もカユエルにはあったのだ。

キリストの礼賛が続く。

誰しも口々に「キリスト」、「キリスト」だ。

カユエルはだんだん相容れないものを感じてきた。自分の神を信じる信仰とは異質なもの。

もっとしたたかに酔わなければこの世が忘れられない。

今ここに生まれてきた私がここにいるのは何のためだ? キリスト。

「死人のうちよりよみがへり」・・、他の死人はどうなったのだ?

牧師の話は続く。「あなたがたが私を選んだのではない、私があなたがたを選んだのだ」・・。

キリストは人類の代表だったのか?

あきらめる? あきらめようか。カユエルは俯いた。あきらめる? あきらめようか? これで私は魂のさすらい人となる。

私の信じるべき神はどこにあるのだろう。

愛は分かりにくいものであってはならない。

カユエルはバッグの柄を持った。皆が立ち上がったすきを見て、自分だけ出口に向かった。

「思い出しなさい」これが今日のテーマだった。

耳が閉じられている。カユエルは立って、出て行った。

出る時、革ジャンを来た男性に見つかり、あっちが頭を下げたので、これが今生の別れだと思い、カユエルも頭を下げた。


 いちじく色の提灯のお祭りの日。

ディディアンはカユエルが教会をあきらめたことを知らない。

「遅くなってごめんなさい」来たディディアンは手に持っていたハンドバッグをカユエルに持たせた。自分は他に紺のパラソルを持っていた。

「賑わってるね」

春祭り。今日もカユエルはカーキ色の開襟シャツだ。今年はそれが流行るらしくてみんな男どもは着ていた。

「場面は最後の審判だ」

「えっ、何の話?」綿菓子機を見つめていたディディアンは驚いて聞き返した。

「ほら、あのさ、劇団ミノタウロス」

「ああ、・・」

何を話していいか分からない。カユエルは横を向いてしまった。

「いい迷惑?」ディディアンが聞いた。

「えっ?」

「私といて・・」

「何の話?」

「あまりに嬉しくって、現実感がないっていうか」

「僕もだよ」カユエルはぎゅっとディディアンの手を握りしめた。

「キ・・キスしてもいいかな?」

カユエルはディディアンの肩に手をかけた。そっとディディアンは気配だけで拒んだ。

「ただ仲の良い友達だと思ってたのに・・」

カユエルは目を見開いた。

用水路の川が覗いていた。

「わがままを言ってしまいそうな私なの」

ああ、女心は分からない。何から始めればいいのか、僕にとっていつまでも女性は神秘的な存在なのだろうか?


 街路樹の蜘蛛の目。

波に呑まれ押し戻され押し返され孤独に戻っている。

闇もまた親しげな波が追いつかない。

忘れるまでの用心棒がショットバーの前には立っている。

カユエルはまだ一人でお祭りの場にいた。ディディアンはさっきのことで帰った。

ベルテッドコートを着た女がショットバーに入っていく。カユエルもその後を追うように中に入った。

「バカみたいだよ!」

カユエルは入るなりテーブルをドンと叩いた。

「キャロットジュースを作って下さい」

「ドライマティーニを作ってよ」ベルテッドコートを着ていた女が横で言った。

カドミウムオレンジの煙草の灯だけが怪しくバーの中を行ったり来たりしている、お祭りと同じくらいひどく暗い所だ。

キャロットジュースは「つぶつぶ」が入っていて美味しかった。これでしばらくは口渇を覚えずに済みそうだ。酒を飲まずに済みそうだ。

「ドアがしまります。デニムシャツをおさまえください」出る間際、カユエルの開襟シャツの裾をつかまえ、用心棒が言った。

振り向くとショットバーは消えていた。その代わりに少年が毒々しい赤の独楽を回して遊んでいた。

「こここけがさす所」子供は神社前のバーの跡地を指して言った。

「ああ、あかりごけだろ?」


 お祭りも終わって、しばらく経った頃、またカユエルは教会の前に立った。通り過ぎただけだった。

後ろから手を肩にかけられた。ベルテッドコートを来ていた女だ。

「お祭りの・・、名前は何だって」女はプーシキンと名乗った。

「・・?、」

プーシキンはその日は毛皮のファーのコートと、フリンジのついたバッグだった。

プーシキンはその前をはだけた。裸だと思ったら、中は人工構造だった。昼日中だ。

「未来の人間たちが作ったのよ、あなたにだけはそれを知ってほしくて」

カユエルはゆっくりと肯いた。

「春は優しい匂いがするから好き」

「だからおかしな奴が出てくるんだな」

プーシキンは前を留め、ゆっくりと遠ざかっていく。UFOの方へ広い道路を。

「マザーコンタクト」はそれから何の前触れもなく去った。その理由を知っているのはカユエルだけだった。

わずかな陽がただ陰り始めた。

プーシキンの後ろ姿を見ている時に、生温かいものが頬に付いているのにカユエルは気づいた。

こめかみを銃で殴られたように聖痕が流れていた。

カユエルは血が流れているそのまま、予定通りテアトルの貸し小屋に行った。

カユエルを見た皆が一様に驚いて、ディディアンも驚いていた。「どうしたの、これから本番なのに。私たちの血と涙が」

「きっとさ、宇宙人は怒ったんだよ、人間が宇宙に勝手な乱暴狼藉をしたからさ。リュウグウとかそうだろ? 勝手に岩を壊してさ、持ち帰るなんてさ。月が怒るわけだよ」カユエルを両腕を広げて、もうマザーコンタクトのいない窓の上を見上げた。

「これで紀元前、紀元後期が分かれるんだ」

カユエルはそう言って、化粧をしに鏡の前へ行った。血はもう止まっていた。化粧が痛い。

「この頃、酒に酔わないと調子が出ないんだ」

隣にはディディアン。

「忘れるには時間が必要さ」

部屋の暗がりに「闇」が止まっている。犬の舌のように。

「男と女の違いはメイク落としにあると思うんだよなあ」

ささっと眉を描いてディディアンは行ってしまった。

「ね? そう思わない」

カユエルも鼻筋を描く。

「もう自分で失踪届けを出そうかと思うほどさ」

カユエルは自分一人だけで声高に笑った。

「余計な知恵を」誰かが言っている。それを横目で見て、

「鳥肌の頂点に立つのは、か」カユエルは自分の腕を触って、それを鏡の台の裏に伸ばした。

一口飲んで酒瓶をこっそり置いた。

「酒は知ったかぶりする薬だよ」

開襟シャツのピタゴラスのボタンをそっと留めた。

震え上がる。

床には瓶の王冠が転がっていた。


「僕が許せないのはお父さんが親戚に「自閉症になって帰ってきた」奴がいるって言ったことなの」舞台の本番が終わって、化粧を落としながらカユエルは母に電話で言っていた。

「何で結婚したの?」

「・・・・」母は電話口で何か言っている。

「お疲れ様でしたー」

「ッシター!」

「よっしゃ、打ち上げ、

打ち上げ」

カユエルを誘う者は誰もいなかった。

「待て」をするようにカユエルは手を顔の前に置いた。

「皆さんに、神の恩寵があるでしょう」

カユエルを置いて打ち上げに行こうとしていたテアトルの一同は凍り付いたように立ち止まった。表情も。

「どうした、芝居でイカれちまったか」

「憑かれたのか」

ディディアンが一足早くカユエルの前の椅子に座った。一同も恐る恐るそれに続く。

舞台は教会のようだ。何列にも並んだ四重奏が流れる中、カユエルは説教を厳かに始める。

「天にまします、我らの父よ、ねがわくはみ名を?」レスポンスを期待するようにカユエルはその正気とは思えない目で皆を見る。

「知らねえよ!」罵倒が飛ぶ。

「酔ってたらもっといい考えが浮かぶのにな、あがめさせたまえ、だ。み国を来らせたまえ、その続きは君らが考えたまえ」

「おい、行こうぜ。ディディアン、何やってんだよ!」ディディアンは袖を引っ張られてもしばらくその場にいた。

「もう行っていいんだよ」

カユエルはその白く細く長い指を出口に指した。

「主よ、わたしは世の終わりまで、いつもあなたがたとともにいます」

デジタル時計の白い文字が午前2時を指す。もうとっくに午前2時だ。

カユエルは今まで自分が何をしていたのか覚えていない。ポケットを探ると、この前のイースターでもらったまま、渡さずに入れておいた礼拝献金袋があった。中を開けてみると何も入っていない、当たり前だ、何も入れていないのだから。

確か、棕梠の主日の時は1ペニー入れた。

「飲みに行く金もないか」

天にまします我らが神よ・・、と自分で考えた賛美歌を口ずさみながらカユエルは誰もいない林の間に分け入った。

そこにはいくつもの線路があった。離れていった自分、進化するように枝分かれしていった自分のパラレル線路。

そういえば、ディディアンに持たされたあのハンドバッグは?

それを探してパラレル線路をずっと歩いていくカユエル。生まれたての小鹿が立って歩いてついて来る。

嵐の中に私はいない。

(進め! 進め!)カユエルは頭の中でずっと考え続けていた。

見上げた時、空を失くす。

当たりでも外れでも生きられない。

「投げよ」言った時、カユエルの口から「ムーンライトマイル」のあの黒人のように無数の星が出てきた。

 尿道カテーテルを差されたカユエルがベッドに横たわっている。

「僕、バンビが好きだよ」

隣に座っている若い母がテレビをつける。ちょうど舞台劇が映っていた。

「君がいて」息が白い。

カユエルは笑っていた。


あかりごけ


登場人物

精神科医・・ディディアン

キリスト・・カユエル


運命のないギャラリー。周りは人がいるのにシンと静まり返っている。絵が飾られているがフレームだけ。そこの手前のテーブルに椅子が二脚。

女がもう座ってい、軽く立って、男を招く。

よろよろと片方の足を引きずってようやくその男、椅子に辿り着く。


女「落ち着いた所の方がいいと思いまして」

男「(やや落ち着きなく)・・はい」

女「絵でも見ながら懇談しませんか(微笑んで)」


男は辺りの絵を見渡すがすぐに目を伏せてしまう。


男「先生、煙草を下さい」

精神科医「これは闇タバコですが、どうぞ(チャコールの箱ごと渡す)」


男、箱を震える手で受け取るとすぐに持っていたライターで一本に火をつけ、続けざまに二本、吸い、ため息。


精神科医「落ち着きましたか」

男「はい、はい・・、やっと」

精神科医「では、お悩みをもう一度繰り返してみて下さいませんか?」

男「何で、私のような・・、(ゴホン)何でわざわざ殺されるような人を地に遣わしたんだろう」

精神科医「キリストさん」


精神科医、立って男の椅子の後ろに立つ。絵を見上げているような素振り。男、それを目で追う。


キリスト「(頬を撫で)ようやく目が見えるようになってきました。煙草が切れるともう何とも・・お騒がせしてすみませんでした(頭を下げる)」

精神科医「さて、その相談ですがねえ、キリストさん、あなたの被害妄想ということはありませんか?」

キリスト「しかし私の人生にはいいことが一つもなかったんですよ?」


キリストは被害妄想と言われたことに傷付いたのか再び目を伏せる。手は膝に置いたままだ。


キリスト「(呟くようにだが断言する)もうこれ以上間違うことはない」


キリストはどこかから脱走してきたのか有刺鉄線で貫かれたように細かい穴が腕に空いている。

不安な胸中を推し量るように精神科医は絵のフレームを見ながら耳を澄ましている。


精神科医「(キリストの椅子の背もたれに手をかけ)今、何と言いました?」

キリスト「僕の人生は間違いだらけだったような気がするんです。だからもう「間違うことはない」と言ったんです」

精神科医「なるほど・・」


精神科医、背もたれから手を離してまた絵のフレームを見つめて歩く。スカートのお尻に手を当て雄鶏のように歩いてまた元の席(キリストの向かいの席)に着く。


精神科医「大根橋は初めてですか」

キリスト「(辺りを見回して)初めてですね。江ノ電なんか乗ったことないから・・」

精神科医「落ち着いていていい所でしょう。穴場なんですよ」

キリスト「待ち合わせ場所は江ノ電が帰る駅、となってましたから、いやはや、迷いました」

精神科医「(苦笑して)誰でも迷います」


キリスト、また箱から一本、取り出して煙草を吸う。それをじっと見つめている精神科医。


キリスト「煙草が切れると、視界が定まらなくなるんですよ」

精神科医「私は眼科じゃないですからねえ」

キリスト「(また目を伏せて)目も耳も、頭もね、働かなくなって。(煙草をテーブルでもみ消す)ハー、やっと落ち着いた(テーブルからぶどうの灰がこぼれる)」

精神科医「まだ酔いが覚めてないからですよ」

キリスト「(苦笑して)煙草やアルコールのせいではないですよ。使い物にならないのは」


精神科医、手をもむ。次の会話に困ったようにまたフレームに目を移す。


精神科医「(フレームに目をやったままで)・・みんながあなたを待ち焦がれていたのですよ」

キリスト「忘れるためにはお酒が必要だ」

精神科医「何を忘れたいんですか」

キリスト「(また頬を撫で回して)さあねえ・・」


また沈黙。


精神科医「キリストさん、私は、打ち明けますけど、代理ミュンヒハウゼンなんですよ。いわゆる、世話を焼く自分に喜びを感じる、という性癖の持ち主なんです。私もマトモではないんです。あなたの力になることが私の喜びなんですよ」

キリスト「ありがたいですけどねえ・・」


キリスト、そこでついと立ち、背もたれに掴まりびっこを引きながら、ギャラリーの奥まで見に行く(退出する)。

イーグルスのマイマンが流れていた。

「間違ってない!」キリストの轟きが聞こえてきた。

曲は松任谷由実のグッドバイゴーズバイに変わっていた。


キリスト「この人生の何もかもを忘れ去って第一歩を踏み出すにはお酒が必要なんじゃないですか」


精神科医の後ろに気付かぬように近付いているキリスト。驚いて精神科医は後ろを振り向く。

それを見て見ぬふりをして、またびっこを引いて精神科医の向かいの席に着くキリスト。

音楽止む。


精神科医「(気を取り直して)愛は駄々っ子のようなものではありませんか。もし、神があなたを愛してたとして・・」

キリスト「こんな悲しいことはない。天が落ちてきたみたいだ。畜生! このくそクリスチャンめ」


キリスト、椅子から立ち上がろうとするがコケてもつれるように大きな音を立てる。少し離れた所にうずくまる。


キリスト「永遠の生命だ? クソ食らえ!」


その様子をじっと見ている精神科医。

キリスト、その場で立って膝を払う。


キリスト「(気を取り直して)神はこれ以上の願いを叶えてくれない。神に見棄てられた気持ちが分かりますか。自分が耐えればいいだけだと高をくくっていましたよ。あなた方には分かりはしない。こんな気持ちはね」

精神科医「とはいえ、・・」

キリスト「(遮って)永遠に死んだんだよ」

精神科医「(髪を掻いて)この世の弱者そのものがキリストなのですから。(ほつれ毛を払って)あなたがいるだけで」

キリスト「もう間違うことはない(断言するようにまた退出する)」


一人になった精神科医、パンプスを外して爪先を曲げる。

しばらくしてもキリスト帰って来ず、精神科医、腕時計を見上げる。

ヨタヨタとキリスト、また戻ってくる。


キリスト「沈黙がそばにいるじゃないか」


精神科医、黙る。

キリスト、席に着かず、またその場で頭を抱えてうずくまる。


キリスト「神さま、何で僕をこんなに一人にするんだ」


気が付くと、正面の絵のフレームの中にはりつけのレリーフが浮かび上がる。わずかに発光する。

キリスト、それを見上げて、


キリスト「呆気ないもんです。私は赤痢で死んだんですよ。それがあんな事に」

精神科医「(手をもむ)でもね、キリストさん・・」

キリスト「神は一体・・、何を教えようとしてるんだろう・・(静かに背もたれを掴んで席に着く)」

精神科医「コーヒーでもいかがですか」

キリスト「いただきましょう」


コーヒーが来るまでの間、精神科医は黙り込んで、キリスト必死に煙草を吸う。

無言でコーヒーが運ばれてきて、二人の前に配られる。


精神科医「一日の苦労は一日にして足れり、というじゃありませんか」


キリスト、メッセンジャーバッグからパンフレットを取り出し、読む。


キリスト「この運命のないギャラリーの触れ込みは明日の風は吹かない、となっておりますが・・」


精神科医、小さく肯いて黙り込む。キリスト、パンフレットをしまう。


キリスト「もう間違うことはない」

精神科医「(確認するように復唱して)もう間違うことはない」

キリスト「私は罪深い。(深く首を垂れる)私は生き返ります、生まれ変わってあなたに会うこともあるでしょう」

精神科医「それは嬉しい。私としても嬉しいことです」

キリスト「(やにわに顔を上げて)目の前が真っ暗でね、何も見えないんですよ」


キリスト、急に手探りして精神科医の顔を掴む。そのまま全盲のように立ち上がり、はりつけのレリーフの前で立ち止まる。


キリスト「誰もこの寂しさを癒してはくれない。神よ、神よ、なぜ・・」

精神科医「(バネのように立ち上がり)私のために死んでくれませんか」

キリスト「(うつろな表情で精神科医の方を振り返り)神よ、なぜ我を見棄てたもうた」


はりつけのレリーフが無限の光を放つ。

一斉に今まで無言劇を続けていた観客が立ち上がり、合唱する。


「もう間違うことはない!」


キリストも精神科医も合唱に参加して力の限り叫ぶ。


全員「もう間違うことはない! もう間違うことはない!・・」


その合唱の中で、幕が下りていく。キリスト、下りていく幕のすき間に這いつくばるようにして懇願する。


キリスト「何卒、何卒・・」


「もう間違うことはない!」の合唱が続く。遂にキリストも隠し幕が閉じられる。

閉じた幕の前に精神科医が出てきて、司会の檀上に立つ。


精神科医「この診療の最後に私と患者は共同で詩を作った。最後に、その詩をカルテにはさんでおく」


それまで見ていた観客にしおりのような物が各自、配られる。

そこにはこう書かれてある。


「ポール


Paul 僕がなっているところに

君を連れていこう」


ザブトンと森の上の


劇団ミノタウロス 協力・テアトルシコー


 ザザ、ザ、と波の音がする。暗闇。

舞台が明るくなってくる。青い部屋に男女二人が寝かされている。

女の方が目を開き、男を揺り起こす。


あとい「ねえ、あなた(頻りに周りの様子を気にしながら)」

井野「ん、ああ、明けたか(起き上がって伸びをするが、窓の方に近づき動きを止める)」


あといも後を追って、窓の方に近づき夫の方へすがりつく。


あとい「アアッ!」

井野「どういうことだ、32年間眠ってただけなのに、この様子は・・!」


場面、切り替わって、銀行風の応接室。

あとい、井野、そしてスーツ姿の男が座っている。


銀行員風の男「・・では、当方の方では責任は一切持ちませんので・・(書類をしまう)」

井野「(夫婦手をつないで)ああ、いいとも、ずっとこのままでいたいもんな、マイハニー」

あとい「(慌てて)え、ええ、マイダーリン、私もずーっとこのまま・・」

銀行員風の男「(肯いてにこやかに)では、32年間お預かりします。本日は時間銀行のご利用ありがとうございました」


ATMも点滅して、「ありがとうございました」を連発する。


現在に戻って、あの青い寝室。

相変わらず慌てている夫婦。そこにさっきの銀行員風の男が白髪になって登場。


時間銀行の職員「大変申し訳ございません。(深々とお辞儀をする)未来担当の失念でございまして、お客様方のことを忘れておりました。大変申し訳ございません。このお詫びを「しっかりと」(強調して)しますので、本日は大変申し訳ございませんでした!」

あとい「失念って! 32年眠っている間に何があったの」

時間銀行の職員「フォローを致しますので、詳しくはこの現在の未来担当のチヨが・・」


チヨ、若い女性登場。


チヨ「こんにちは、はじめまして。未来担当のチヨと申します。この度は当行の・・。堅苦しい挨拶はヌキとして、奥様、お髪をブリーチなさったら? 今、流行っておりますのよ、特にハイミスに・・」


時間銀行の職員、こっそり退場。


あとい「どうなってるの? 私たちの娘は?」

チヨ「櫻さまでございますか? 櫻さまなら(チヨ、手をかざす)」


舞台、切り替わって雪原。雪山の峰々。

若者たちの嬌声。


若者女「櫻、やっちゃいなよ」

櫻「私? みんな雪かけてよ(体をあらわにする)」


若者たち、それで一斉に真っ白な(雪でできた)牛のハリボテを櫻にかぶせる。

櫻、それで雪原に四つん這いになる。

若者たち退場。くすくす笑い。


櫻「ああー! イっちゃう、イっちゃう!」


牛の雄たけび。


場面、切り替わってそれをモニターで見ているあといと井野の夫婦、言葉を失う。


あとい「ウゲッ、(えづいて)、32年眠っている間に何があったの・・」

チヨ「32年は長いですよお(三人とも、いつの間にか座っている)」

井野「何てこと・・(顔を塞ぐ)」


舞台、暗転。井野夫婦とあと若い女性が部屋の前で向かい合っている。


志穂「私、ひきこもっちゃって、櫻ちゃんのこととか分かんないけど・・」

あとい「志穂ちゃん・・」

井野「話してくれないか」

あとい「雪でできた牛を身につけ、シてたんでしょ」

志穂「うん・・、(言い難そうに)あれは隠れて・・」

井野「(絶望したように顔を隠す)ああ・・」

志穂「どうして32年間も寝てたんですか? 櫻ちゃん寂しかったんじゃないですか?」

あとい「(しばらく迷う)実は私たちは、櫻を産んだ時は仲が悪かったの。だから時が経てば・・」

志穂「そんなの砂の計画じゃないですか。それは櫻ちゃんに言って下さい」

あとい「志穂ちゃん、しっかりしてるのね。しっかりね」


場面、切り替わって一人の櫻。お腹が考えられないくらい膨らんでいる。


櫻「ああ・・、腹が重たくて動けない。おーい、みんな」


若者たち、袖から出てき、櫻を胴上げのように抱え上げる。


櫻「このままホームへゴーだ」

若者「家へ帰るのか、何年ぶりだ」

櫻「32年・・」


若者たちに運ばれ櫻退出(「ライムライト」のドラムにはまったカルベロが運ばれていく場面参照)。


家。ちゃぶ台を囲んでいるあといと井野。

チヨが遠慮がちにチョコレートの箱を背中から出す。


チヨ「これ、お詫びの品です」

あとい「チョコレートピーナッツ・・(食べない)」

チヨ「中身はカシューナッツですけど」

井野「(黙ったまま箱を開ける)チョコレートピーナッツ・・、(一つをつまみ上げて)うん、うまい、うまい」


毒マスクをつけた人二人、登場。


毒マスクA「(あといにチョイチョイとして、)スピー、スピー、これ食べないんですか?」

井野「何だね、君たちは」

あとい「(無視して)食べません。よろしかったらあげます」

毒マスクB「(探知機を箱に近づけて)スピー、スピー、うん(Aに肯いて、箱を取り上げる)」


毒マスクの男たち、出て行こうとする。


あとい「捨てるんですか?」

毒マスクA「(驚いて振り向く)フードロス? 未来の日本に持って帰るんですよ」


毒マスクの男たち、慎重な足取りで退場。

チヨ、黙って肯く。


場面、切り替わって美容室。チヨがあといの真っ白になった髪を乾かしている。


チヨ「(鏡を開いて見せて)どうですか、奥様」

あとい「(ブリーチした髪を持ち上げて)うん、気に入ったわ」


家に一人、取り残された井野。沈痛な面持ちで俯いて黙っている。

そこに鍵をガチャガチャ鳴らす音。

井野、ビックリして立ち上がる。

「あれ、開かないなあ」櫻の声。

呼び鈴「ピンポーン」


井野「(走り寄って)櫻!」


お腹が大きくなった櫻、登場。

井野、ビックリして立ち尽くす。

そこに髪をブリーチしたあといもちょうど帰ってくる。

場面、暗転。


厳粛な面持ちでちゃぶ台を囲んで座っている三人。


あとい「・・だから、何度も言ったようだけど、お母さんとお父さんは仲が悪かったの、櫻が生まれた時ね、だから時が経てばどうにかなるんじゃないかと・・」

櫻「(ふてくされたように黙っている)」

井野「すまん!」

櫻「ムカつくベイベー。暑っいのにこう(足を投げ出す)」

夫婦「(目を見合わす)」

櫻「志穂に話し聞いたんだって?」

井野「(肯いて)しっかりしたお子さんになったね、櫻はあの子とよく遊んでいたね」


場面、切り替わって過去。向かい合っている志穂と夫婦。


志穂「スマホ? そんなのもう誰も使ってませんよ」

あとい「道理で櫻と連絡がつかないと思った」

志穂「(奥からスキー板を持ち出して)おばさん達、行くんでしょ」

井野「(慌てて首を振り)やらないよ、やらないよ」

志穂「(笑ってスキー板を立てかけ)テレビでもつけますか」


牛の革でできたテレビ。「ピーカブー」の音だけ。

それに見とれている志穂。

その目を忍んで夫婦、何かを話し合う。


あとい「(思い切ったように)志穂ちゃん、ありがとう。私たちも至らなかった、櫻が自分の意志で帰ってくるまで待とうと思うの(志穂に手を差し出し、夫婦立つ)」

志穂「(軽く手を握って)はい、ありがとうございます。何かこの世が怖くなっちゃって・・」

井野「気をしっかり持って」


チヨ、出てきて志穂に頭を下げ、煙草によく似た物を夫婦に差し出す。


チヨ「これはザリウムといって、「決して、今住んでいる場所で吸わないで下さい」(強調して)」

あとい「(受け取って井野にも渡す)これ、何?」

チヨ「ドラクエってご存知ですかあ、それのパルプンテです。何が起こるか分からないってやつ。(急に真剣な顔になって)人生も一緒でしょ?」

あとい「もうどうにでもなれってやつね(ポケットにザリウムをしまう)」


場面、切り替わって二人が出て行った志穂、一人。

首を吊るクレーンを用意している。それに首をかけ、


志穂「生きていくのに自信がなくて、やばと思ったから死んじゃいました」


場面、切り替わって言い争っている現在の三人。ちゃぶ台を囲んで互いを追いつ追われつしている。


櫻「初めてじゃないし!」

あとい「(逃げながら)私の存在が分かるまでよ!」

櫻「志穂ちゃんが死んだのもお母さんのせいだ!」

井野「(うつろな目で走り回りながら)納豆は野菜か? 納豆は野菜か!?」

あとい「(立ち止まって)もういい! お母さん、これ喫う!」


あとい、ザリウムに火をつけて吸う。コーラが熱を出したような水の音が響く。

その間に、呼び鈴「ピンポーン」

井野が出る。


宅配便「お届け物です」

井野「何も頼んでないが」

宅配便「時間銀行様からですね、「贈り物」となっておりますが・・」

井野「ああ、お詫びの品かな、判子は?」

宅配便「いりません、口づけを」


二人、口づけする。井野、大きなケーキでも入りそうな箱を重そうに持って来る。


井野「(まだザリウムを吸っているあといにすがりついて)納豆は野菜か?」

櫻「あっ、産まれる!」

あとい「お湯を用意して! あと・・灰皿(ザリウムをその手から取り落とす)」

櫻「あー!」


櫻のお腹から「生きた」牛が生まれる。

あとは牛のその場のなすがままに任せるがよろし。


井野「何てこった、納豆は野菜か?」

あとい「(牛の挙動を見ながら妙に落ち着いて)箱を開けてみましょうね、あら、美味しそう」

櫻「なあに?」

井野「ブルーベリーケーキだ(それをライオンキングの赤ちゃんのように取り上げる)」

あとい「ずっとこうしたかったのよ!(ブルーベリーケーキの一部を持ち上げてそれを櫻に向かってぶん投げる)」

櫻「(顔中、ブルーベリーになりながら)私だって!(ブルーベリーケーキを投げる)」

井野「納豆は(ブルーベリーケーキを投げる)野菜か! 肉か!」


三人、ブルーベリーケーキを投げ合い収拾がつかない状態。

それを陰で見守っている時間銀行の職員とチヨ。


時間銀行の職員「これでよし」

チヨ「本当にこれでよかったんでしょうか・・」


二人にもブルーベリーケーキが投げ付けられる。


時間銀行の職員「(顔中、ブルーベリーにしてケイタイを操作する)あとはロイヤルホストデータバンクに頼もう」

チヨ「(顔中、ブルーベリーにして黙って肯く)」

井野「(牛をなだめて)心易く、何かを頼もう。何かを生け贄にしないで」


変わらず、ブルーベリーケーキを投げつけ合う一同。

ブルーベリーだらけになった三人がいた。

舞台が全てラズベリー色になって、それが濃くなり、幕。


「もう間違うことはないんだもんな・・」チビた酒を飲みながら飲み屋のテレビで舞台劇を見ているカユエル。

「チッ、何で俺たちのを放送してくれねえんだよ。なあマスター? つまんねえよ」

マスター、グラスを拭きながら肯く。

「次、何にします?」

「焼き鳥と、キャロットジュース」

マスター、「あい」と返事をし、カウンターの下からブルーベリーケーキを取り出し、カユエルにぶつけてなすり付ける。

しばらく酒は止められそうにない。

「マスター、お銚子もう一本」


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