ここにいる
お肉と野菜をいっぱい食べ満腹になった
晴と沙良はかくれんぼをすることに。
じゃんけんをしてどっちが隠れるか決めている。
「じゃ、俺隠れるからな!10秒数えるんだぞ!」
どうやら、グーとチョキでグーを出して勝った晴が
隠れることに決まったようだ。
沙良「わかってるよ
いーち、にー、さーん」
晴「おい!まだだよ!」
沙良「じゃ、早く隠れてよ」
「わかってるよ」隠れ場所を走って探しに行く
晴に「あんまり遠くまで行くんじゃないぞ!」と
晴パパの声がする。
晴はどこに隠れようか考えている内に
どうやら森の奥まで来てしまったよう。
パパに遠くまで行くなと言われていたにも
かかわらず、これは後で怒られるかなと
晴は心の中で思った。
どれくらい時間が経っただろう。
もう暗くなり始めている。
「沙良の奴、早く見つけろよ」側に落ちていた
木の棒で地面をいじりながら呟く。
始めは余裕だった晴もだんだんと心細くなって
きて、「お願いだから早く見つけてくれよ」と
言葉に出して呟いていた。
後ろの草がガサゴソガサゴソと揺れている。
「なんだよ…こえーよ…」
バサッと目の前に現れたのは「晴、見ーっけ!」
沙良だ。
晴「遅いよ!もっと早く見つけろよ!」
沙良「こんな遠くに隠れてると思わなかったから。
後でパパとママに怒られるよ?」
晴「それは沙良もだろ!沙良だってここまで
来たんだから!」
沙良「それは晴を探しに来たんでしょ!
かくれんぼなんだから」
晴「一緒に怒られれば怖くないよ」
「何それ。なんであたしが怒られるの?
こんなとこに隠れた晴のせいだから。
もう知らない!」スタスタと先に歩いて
いこうとする沙良を「待てよ!」と晴も追いかけるが
「どっち行けばいいんだっけ?」「俺たちどっちから来た?」と2人して道に迷ってしまった。
来た道が分からなくなってしまった2人は
とりあえずその場に座り込む。
「どうしよう…」泣きそうな沙良に「大丈夫!俺がいる」と晴は声を掛けるが、晴も泣いてしまいそうな顔をしていた。
とうとう真っ暗になり明かりもないため何も見えない。
きっと今頃、ママパパ達は必死になって2人を
探していることだろう。
2人はお互いの手をぎゅっと握り合っていた。
初めて会ったとき、自己紹介をしたときのような
握手ではなくそれよりももっと強く、お互いに
自分はここにいるよ…と主張するように……
明かりもなく真っ暗な今、2人にとっては
お互いの手の温かさだけが頼りなのだ。
そんなこんなで、今日起きるのが早かったためか
疲れたのか2人はうとうとして眠ってしまったの
だった。