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僕らの出会い
看護師さん達が忙しなく動き回っている。
落ち着いたと思ったらベッドに寝ている
赤ちゃんが二人新生児室に入れられる。
見たところによるとオギャーオギャーと大きな声で
泣いているのが女の子で、キャッキャッと
笑っているのが男の子のようだ。
キャッキャッと笑っている男の子の声に気付いたのか
隣の新生児ベッドに寝ている女の子がぴたっと
泣き止んだ。
そしてつられたのか女の子もキャッキャッと
笑いだした。
ほぼ同時刻、詳しくは男の子の方が1分早く
産まれたのだがたいして変わらないから
同時刻としておこう。
数日後、名前が入ったプレートが
看護師によって入れられた。
二人の名は 晴、そして 紗良
晴、お前の笑い声で彼女泣き止んだぞ。
もしかして産まれたときからお前は
彼女のことが好きだったのか?………なんてな
新生児室の二人を眺めていた姿も影もない
誰かの声がした……
そしてまた数日後、彼らは温かい手に抱かれ
新生児室を後にする。