弟子を鍛えさせてしまった
先週は他のやることが重なり、書けていませんでした。もしかしたら、今後もあるかもしれませんが、どうぞ見守っていただけると幸いです。
翌朝、今俺たちは平原にやってきている。
最初はギルドの訓練場にしようかとも思ったが、俺は今誰にも見えない。それで、アリシアが変人になってしまう可能性があるからだ。
「それでまずは何から始めるのですか師匠?」
「まずはお前の知識を確認させてくれ。
そうだな…まずは魔術と魔法の違いからだ」
「えっとですね…。魔術は体内にある魔力を使ってイメージと詠唱で現象を具現化させること。魔法は魔術より複雑なもので必ず魔法陣を必要としなければならないが、魔力が少しと一定の魔素濃度が高ければ誰でも使えるという利点がある。」
「そうだ。よく知ってるな」
「むかし、兄に教えられたことがありまして…」
「そうか…。じゃあ次だ、魔術と魔法の属性について説明してくれ」
「えぇと…主に使われてるのは『炎』『水』『風』『地』『光』『闇』それで、魔法にだけ古代魔法が残っている。だけどそれは元々『時空間』『元素』『概念』の派生魔術と言われており、それら三つの属性はケイート・イラダという魔術の祖が作られたものらしいです」
「お前ほんとによく知ってるな。俺もうろ覚えのこととかもあったぞ」
一時期、魔術を極めたくて色々調べてたのに。
勇者なのに!
勇者なのに!
大事なことだから一応2回言っといた。
「まあとにかく、知識的なところはある程度大丈夫だな。お前は魔術が使えないみたいだが魔力自体はあるのか?」
「以前魔力水晶に触れた時は魔力は無いと判断されました」
「ん?ならなぜ魔術をならいたいと思ったんだ」
「それは…父から聞いた話なんですが、私の大事な人が連れ去られた時、暴走して色々な属性の魔法を無詠唱で連発していたみたいなんです。その時の記憶はあまりはっきりしませんが」
「ということは魔力は持ってるけど出し方が分からないというか?」
「はい…」
確かに、魔力水晶は自分の魔力を流し込むことで魔力量を量れる。でも…、いや、まずは
「それじゃ体内魔力を量ってみようか」
「どうやって量るのですか?」
「確か収納空間の中に…
ほらあった。それじゃ手出して」
「手…ですか?それは別に構わな…ひゃっ!?」
「あ、ごめん。ちょっと冷たかったか?大丈夫?」
「大丈夫です」
「ほんとに大丈夫か?なんも言わずにいきなりテープを貼って悪かった」
「だ…大丈夫ですから。ですけどこれからは説明してから貼ってくれませんか?」
「分かった。それじゃ魔力を流すぞ」
「よ…よろしくお願いします」
「あんま力まなくても大丈夫なんだが」
「あ、ごめんなさい…」
「別に謝らなくてもいいんだが…。それじゃ流すよ」
ちなみにこれは魔力量だけじゃなく、力、速さ、硬さ、知能、幸運、特性が表記される魔道具だ。
魔王城の一室で見つけた一点物だ。
いや、今は関係ない。そんなことよりこいつの力についてだが、記憶が無いということは意識がない状態で魔術を発動したことになる。時々、超級魔術師が眠りながら魔術を発動する例もあるが、それも稀だ。
「ん?これはなんだ?」
「どうかしたんですか?」
「いや、ちょっと待て。一、十、百、千…」
「まさか、とんでもない数字が?!」
「いや、ただの不具合かもしれないもう一回量ってみよう」
結果は同じだった。
「力67936、速さ360865、硬さ39271、知能5978、幸運54821…。」
「魔力量はどうなんですか?」
「わ…分からない」
「分からないということは魔力を持ってないということですか?」
「いや、魔力は持ってる。ただ量り切れて無いんだ」
「それはいったいどういう…」
「この魔道具は全てのステータスを1000万まで量ることが出来るのだが、その量を越していて図れないんだ」
「それはかなり凄いですね…」
「いや、魔力もやばいが、ほかのステータスもかなりおかしいぞ」
「それはどういうことですか?」
「そもそも、ステータスの値は1000を平均としているはずだ。超級魔術師でも魔力は10万が多いし、力はSランク冒険者の剣士でも8万辺りが多い」
勇者であった俺でも魔力は100万いくかいかないかくらいだし、力は鍛えてたおかげで20万くらいだけど…、
「それは本当にやばいです…、ん?ひとつ疑問なんですが、なぜこれほどのステータスがあるのにその力を発揮出来ないのでしょうか?」
「それはこの特性というところにあるに書いてあるぞ。ほら、今お前がかかってる呪いが」
「呪い?受けた覚えはないのですが…。」
内容はこうだ。魔力以外のステータスは平均の1000にされる呪いと、魔力は魔力管という体内に魔力を巡らせる管の機能を極限にまで低下させる呪いだ。
「これはかなり深刻な呪いですね…。」
「そうだな」
「師匠は呪いを解くことが出来ませんか?」
「出来なくはないが、色々な術者が関わっていて、各々の術者の魔力が絡まっているからかなり時間がかかるぞ。多分、10年間休まずに取り掛かってやっと解呪出来るくらいには」
「そうですか…。」
「ごめんな、力になれなくて」
「いえ、大丈夫です。かなり昔からかけられてた呪いのようですし、今更解かなくても不自由は無いですよ。」
「でもだなあ…。ん?確か暴走した時があると言ったな」
「はい、そうですが…。あ!そういう事ですか」
「そういうことだ。そこになにかヒントがあるかもしれん。だから条件が揃えば今すぐに魔術を使える可能性があるということだ」
「私、頑張って見ます。師匠よりも強い魔術師になるために」
「そんな目標でいいのか?」
「はい、私にとっては師匠が最強なので」
「それは光栄な事だ」
しかし、これからは魔力も使えないのにどうやって魔術の練習をしようか。あ、確か収納空間に
「アリシア」
「はいなんですか?」
「これをあげるよ」
「なんですかこれ?」
「指輪だ」
「え、えぇー?!まさか私のために」
「あぁ、今は魔力が使えないからその魔力結晶を使って魔術の練習をするぞ」
「あ、はい分かりました」
なんか様子が変になったな。
デザインが可愛くなかったからとか?
「もしかして嫌だった?」
「いえ、嬉しいです。ありがとうございます」
「それなら良かった。それじゃこれからは午前が魔術、昼休憩したらごごに剣術を教える。いいか?」
「剣術もですか?!そんな恐れ多いですし、魔術を習うだけじゃダメなのですか?」
「そうだ、魔術師の共通する弱点は近接攻撃に弱い。だから基本はパーティーを組むんだが、念の為どちらも教えとこうと思って」
「ありがとうございます。これからもよろしくお願いします師匠」
「これから厳しく行くから覚悟しろよ。今日は時間も少ないしランニングだけにしとこう」
「私ステータスが1000なんですけど」
「ステータスに体力は無い。いくらでも体力はつけられる。だからほら、今から行くぞ」
「ちょっと待ってくださいよ師匠」
もうすぐ赤い光が指す平原で1人の少女の声が響き、街に向かって走っていくのだった。
左左薬指に太陽の光を反射させながら
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