3話 浮上
「そいつが最近暴れてるっていう氷野郎か?」
「ええ、彼がそうよ。今日やっと接触できたの♪」
「フンッ、ボスは上だ。あんまり待たせるなよ。」
「はいはーい。さ、いきましょ!」
コンコンッ
「ボス~?つれてきたわよ~!」
「…返事する前に入ったらノックの意味がねえだろうが…まぁいい。お前が氷の小僧で間違いないか?」
「そのまえに、皆さんに自己紹介をして頂きたいのですが?」
「へぇ?まぁ、それもそうか。俺は【ユプオア】俺達は【酔歩】。この王都を取り仕切る、裏組織だ。
やっべぇ。まったく知らねぇ。騎士団に入ってればわかったんだろうか。
「ユプオア…酒か。」
まぁ酔歩ってくらいだし、酒って意味だろ!…違ったらバカ恥ずかしいけど。
「…クックックッ!おい【ブランデー】、お前とんでもないの拾ったんじゃねえか?」
「ええ。想像以上ね…!彼なら即戦力でしょう?」
…まさかのコ〇ン方式か?嘘だろ…最高じゃねえか!
「おいおい!まだ入るか聞いてねぇのにそんなに話していいのかよ!?」
「クックック、落ち着け【ジン】。どうだ氷の?入ってくれるか?」
すっげぇかっこいいし、入りたいけど、1個確かめないとな。これは譲れねぇ。
「…1つお聞きしたい。あなた方は、一般人に手を上げるか?」
「「「ださない」わよ」ねぇよ!」
「それなら、是非お願いしたい。俺は王都の平和を守りたい。」
これはマジだ。俺が魔法師団に入ったのも、家族を、友を、王都を、そしてこのグレイランド王国を守りたいからだ。…普段はちょっと手を抜いてるけど。
「うし!それなら、お前は今日から【ウォッカ】だ。ちなみに俺らは、たった7人でやってる小さい組織でな。
王都裏社会じゃ、新参も新参だ。だが、実力だけはどこにも劣ってねぇ。俺らはこれから、本格的に活動し始める。過激な、それこそ一般人にも手を出すような組織を叩き潰す。
だから【ウォッカ】。力を貸してくれ」
…ありがとう、神様…こういうのを、待ってたんだ!!
「ええ、【ユプオア】いえ、ボス。これから、よろしくお願いします。」
「うーし!【ジン】!ウォッカ持ってきてくれ!」
「はいよ」
ん?ウォッカを飲むってことか?
「ウフフ、【酔歩】に入ったら、名前のお酒を飲むのよ。」
「ほら、ウォッカだ。」
「ありがとよ、【ジン】。さ、【ウォッカ】ようこそ【酔歩】へ
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「おーい!マルセル~!」
さて、俺が【酔歩】に入ってから一週間。未だ連絡はない。ちなみに酒は昔の転生者が作ったんじゃないだろうか。なんでご飯は発展させなかったのか文句を言いたいが、まぁそれは良しとする。
仕事があるときは、はある酒場、【ユプオア】がやってる酒場の看板で判断する。表通りの人気の酒場。まさかここがアジトだとは…看板がopenだったら仕事はなし。closedだったら、仕事の時間の合図だ。
「おい!マルセル!聞いてんのか?」
「わりーわりー。考え事してた」
「ったくよぉ。訓練場いこうぜ。さっき班長が、今日は遠征に行く準備するって言ってたから、近々演習だぞ」
「おいおいまじかよ…はぁー。行くか…」
「おう…」
…あれ、俺両立できるか?