2話 接触
「キャー!!」
「へっへっへ、嬢ちゃん。そんな大声出しても誰も来ちゃくれねえぜ?いま衛兵共は周りにいねえ上、裏通りに近づこうなんて奴はいねえ!」
「そ、そんな…」
「ふん!恨むんならテメエを恨みな。サディオの兄貴を叱るなんて、大馬鹿だぜ」
「イヤッ!だれか!!」
「大人しく死んでけや!」
「あっ」
「「!!」」
「うわっ!お、お姉さん、大丈夫ですか!?」
「なんだテメエは!!」
「ヒイッ!た、ただの学生です…」
「見られちゃあ仕方ねぇ…!テメエが先だ!《ランドスピア》!」
「うわぁ!」
(ここまでは完璧だ!あとはそれっぽい流れで衛兵に…!)
「《ファイアーボール》!」
「なっ!テメエ…」
「こ、これで衛兵が来るぞ!」
「チッ!次は容赦しねえ…!覚えてやがれ!」
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「ありがとうございました!」
「マルセル殿、お気をつけて。」
あの後、駆け付けた衛兵に事の顛末を説明し、お姉さんにお礼を言われた。もう夜になっちゃったよ。まぁさて、じゃあ行きますか…
ん?どこへかって?決まってるじゃん!さっきのチンピラをぶっ倒すんだよ!
そこで他の組織のやつに見られて「何者だ…?」って言われるんだ!そうと決まればちょっと奮発したら誰でも買えるような服に着替える。
ちなみにさっきのやつんお居場所は探知魔法でもうわかってる。うわ、なんかテンション上がってきた!着替えたらそれでもってヘラヘラしながら近づいてぶちのめす!いっくぞー!
「やぁやぁ。元気かい?」
「あん?なんだ、お前?」
「いやちょっとね~。まぁ、中に入れてよ」
「…ふざけやがって。死ね。」
「いててて、いきなりひどいなぁ~」
「…!!なんだ!?」
「お返しするね」
ピキピキ…パキッ…
「おいダズ、お前何やって…!?」
「は!?お、おいダズ!ダズ!」
「はーい、うるさいよ~」
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そんなこんなで俺は今、瀕死のボスを目の前にしています。相手のボスは負けが確定してから顔色が悪い。まぁ、俺がボスの立場だったらと考えると気持ちはわかるけど…
…ん?これは…視線だ!間違いない!よし!誰かに今見られてる!よし!よーし!
「クソッ…お前、何者だ…?」
「さぁ?あの世で魔王にでも聞きなよ。じゃあね」
ピキピキ…パリンッ!
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俺は今帰路に就いている訳だが、風魔法であの部屋の声を聞いている。もちろん、風魔法は簡単なものしか使えないが、これはマジで練習して会得した。
「…あの氷魔法…何者だ…?」
キター!!聞きたかったセリフNo.1!ありがとう、名も知らぬ人よ!
「これは報告だな…」
さーて!おんなじ事して、接触待とーっと!
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さて、そんなこんなで半グレを叩きのめしまくって早数か月。そろそろ接触あってもいいと思うのになぁ
「う、うわぁぁ!!誰かー!」
…いくか
ドスドスドス!
…ん?なんか、先客いねぇ?
「うわぁ!え、衛兵を呼ばなきゃ」
頼む、演技を見破ってくれぇ!
「いや、演技は大丈夫よ。君を待っていたの。こっちはついでよ。」
やっっっっと来た!遅いって!!結構待ってたよ俺!?
「…なんで僕を待ってたんで?」
「フフフ、それはあとで。ついてきてくれるかしら?」
クッ!今すぐお姉さんについていきたい!…が、ここは一旦引く。すると…
「いいや、きれいなバラには棘があるっていうからね。やめておくよ」
「ウフフフ、いいわね君!ねぇ。手荒なことはしたくないの。着いてきてくれないかしら?」
ほらきた!
「わかったよ、降参。ついていくよ。」
「それはどうも。こっちよ」