神社にてその3
「お兄さん、起きて」
耳元で少女の囁く声がする。
「雨、止んだみたい」
いつの間にか僕は寝てしまっていたらしい。
「やることないとウトウトしちゃうよね」
僕にほぼ寄りかかった状態で少女は小さな舌をちろりとだした。
上空を見上げると雲は薄くなって、晴れ間が顔を覗かせている。
「上着、乾かさないとだね」
とはいえ、すぐに乾くものでもないだろう。雨のあとの川で遊ぶのも危ない。
とりあえず水着のままで家に帰ろうということになった。
僕はカバンを持って、少女は濡れた上着を持っている。
………
石段は滑りやすくなっていたので、慎重に降りる。
段を降りると少女はペタリと石段に座りこむ。
「どうしたの?」
僕が駆け寄ると少女は僕に催促してくる。
「……おんぶしてほしい」
彼女の足下を見ると、サンダルの紐が切れたようだ。たしかにこれで歩くのは難しいだろう。
仕方ないと僕は腰をかがめて、少女に背中を向ける。
「さすがお兄さん。優しいね」
少女の体重が背中にのしかかる。それとともに水着で覆われていない素肌の部分も密接に触れて、体の熱が伝わってくる。
「えへへ」
少女は嬉しいのか、気恥ずかしいのかわからない笑い声をあげる。背中越しでは表情がわからないので、なんとも言えなかった。
それは自転車までの短い道すがらの出来事だったのだろう。
夏の日差しはまた顔を出そうとしていた。
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