僕の水着
少女から男用の水着が手渡される。
「これは?」どうしろというのかというのは野暮というものか。
「せっかくなんだから、お兄さんも川遊びしようよ」
昨日みたいに濡れるから水着のほうがいいと少女は言う。
いったいどこから持ってきたものなんだろうか。
「この水着は伯父さんの息子さんのだよ。あげるって言われたから、もらってくれていいから」
なるほど。もらうかどうかはさておいて、着替えるにしても一度は裸になる必要がある。
僕は寝室で着替えることにした。
履いてみると水着はぴったりだ。
着替えたことを少女に伝えると、寝室へ入ってくる。
上半身裸の僕を見て、少女は少し気まずそうだ。顔も少し赤い。
「お兄さんにこれを渡そうと思って」
少女が差し出してきたのは薄手のパーカーだった。おそらく水に濡れても問題ないやつだ。
「ありがとう」
なければないでシャツでも着ようと思っていたのでありがたい。
僕は上着を手渡しで預かり、広げて袖を通してみる。サイズはぴったりで着心地が気になるようなこともない。
どちらかというとその間も少女はずっと僕を見ていて、そちらの方に意識が向かってしまう。
なんとも照れくさいことだ。
「ファスナーは私が閉じてあげる」
少女はバレーボール一個分くらいの距離まで近づいて、僕の着ていた上着のファスナーを僕の肌を挟まないようにゆっくりと閉じていく。
「終わったよ」
少女は距離感を保ったまま上目遣いで僕を見つめてくる。困ったようなはにかんだような、そんな表情だ。
お互いしばらくぼーっとしており、ハッとなるまでその近すぎる距離はそのままだった。
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