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ひいろのせかい  作者: Remains
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008 取締役のお仕事

僕は今はまだ未成年だ。

だから通常は働くことも商売で儲けることもできない。

何をするにも保護者(法定代理人)の許可が必要になる。

しかし、法定代理人(両親)の同意書(実印で印鑑証明付きのもの)があれば、営業行為が可能なほか、取締役会設置会社において取締役にも就任できる。

と言う訳で僕は5つの会社の取締役をしている。

もちろん父の威光と血統が大きいが、僕の場合は実務能力が認められている部分が大きい!? と我ながら思っている。そう思っているのは僕だけか? 


さて、その5つとは、父の経営する会社の内でも特に優良株の、

  エレクトロニクスの(株)SAGATEC、

  金属精錬や加工全般の(株)横汀金属、

  石油製品や合成化学製品製造の(株)川先重化学、

  綜合建築一般の(株)鎌蔵建設工業、

  物流システムの(株)相神物流ロジテック 

の5社だ。 全て上場企業だ。


中でも(株)SAGATECは委員会設置会社なので、開発関連執行役員と兼任している。

全ての会社の取締役会は月一で土曜なので時間帯が合えば出席が可能だが、執行委員会は平日なので夕方からの開催にしてもらっている。

執行役員は実務が必須だが僕の場合出社するのは難しいので、開発担当者とリモートでやり取りし、アドバイスや進捗の確認などをしている。

取締役会で開発の方向性を決めた後、開発計画や開発方針を開発部長と検討して予算組をし、社長に稟議を通して、実務に入るという段取りだ。

今回、TOMTEC10000の大幅なバージョンアップも、汎用AI開発の一環という名目とともに、製品としてのTOMTECシリーズの性能強化版の試験的開発という名目もある。

実際僕の研究開発の結果をもとにして会社の製品として売り出されることになるのだから、数億単位の経費は何でもない。

名目上、我が家の僕の部屋は研究と開発を委託された工房となっている。

だから正式にはTOMTEC10000は借り物ということだ。

ただし、ハードウェアだけ。ソフトウェアはOSSのOSとOSSの開発言語を使用して開発した自前のAI が走っている。

ところでアップグレードしたらTOMTEC20000とかになるのかな? 

後でTOMに相談して決めてしまおう。


さて、取締役には当然報酬が払われる。

執行役員にも報酬がある。

僕の場合、取締役それぞれ月40万程度、開発関連執行役員の報酬は月50万プラス売り上げによるボーナス。

だから最低でも合計月額250万が僕の口座に振り込まれる。

ただし、一社からの収入じゃないので確定申告が必要となる。面倒だがしかたがない。

年間3000万円だと色々な税金が結構多額になるんだよね。



ところで余談だが15歳からは代表取締役に就任可能なので起業する予定で計画を進めている。トモル技研(株)という多方面の技術開発を手掛ける、研究開発会社だ。

その為に個人的に、よさそうな弁護士や司法書士、税理士や会計士をことあるごとに探しているのだが、中々これといった人材にめぐりあたらない。

今は父上の弁護士他をその都度借りている状態だ。

今の内から信頼できる人材を確保しておかないと時間は待ってくれない。

その時になって妥協しているようじゃ先行きが思いやられるというもんだ。

どうしたら、志を一にした同志的有能な人材を集められるか?

うまい方法があればいいが、

とにかくいろいろ試してみよう。


突然だが、株式会社では代表権のない社長には子供でもなれるの知ってた?

皆にはあまり意味ないと思うけどね。



さて、(株)SAGATECには何かとお世話になっているので

分野別問題解決AIの開発を進めている。

分野としては、遺伝子工学、合成薬学、大脳生理学、などの医療の分野がメインだがこれには計算スピードの問題がある。

リアルタイムの医療現場用としては

診断補助としてのAIや、投薬選定補助のAI、手術補助のAI、他色々なことが考えられるが、僕の育てたTOMなら、どんな専用AIでも生み出すことが可能だ。

医療機器では神東医療機器という会社が関連企業だし、

横汀国立大付属病院あたりで臨床や実証を取れればいう事がない。ただ開発にあたっては医療機関の医療データは多いほどいい。そういった意味から、データをどうやって得るかがカギとなるのだが、その点は経営陣のお知恵を借りて対処していただくことになる。

また、AIだけなら(株)SAGATECだけでなんとか済むが、例えば診断補助AIだとしても、電子カルテや各種検査機器との連携や、医療系データバンクとの連携も必要になる。また、AIの成長には、大量の新しいデータが欠かせない。だから医療機器メーカーや医療機関との開発協力体制は必須となる。

という事で始めるにしても大きなプロジェクトになるので取締役会で検討の上、開発部門も交えて以降の共同開発のプロジェクトをどうするのかも決めていくことになる。

うまくいけば少なくとも数千億が動く市場となりうる。


さて、次の会議でどう提案しようかなっと。


話は変わるが、僕は化石燃料の消費に支えられている現在の世界の構造はすでに限界を超えていると考えている。

地球の資源を使い続けるだけで、何も再生しないでいれば、いずれは破たんすることは分かりきっていることだ。

自然エネルギーなどと騒いでいるが、消費エネルギーを賄えるだけの規模の施設を設置することは不可能に近い。また、その施設を作るためにより多くの化石資源を消費していたのでは本末転倒だしね。

結論としては、もっと効率の良い低コストのエネルギー発生源が必要だという事になる。

そこで、僕は燃料電池の考え方をより進めて、

1. 低コスト低エネルギーでの水分子の分解方法を考案する

2. 再結合時(H2+O)の安価で安定したイオン化触媒を開発し発電する

3. 発生する電気とともに熱の再利用を徹底する。


1. の 開発がカギとなるのだが


1. については水の電気分解の効率化の実験中偶然発見したPE場の利用で可能になった重力子の制御中に発生するクーロン力の利用方法を応用すれば可能だが、総合コストをいかに小さく出来るかが課題だ。

㊟極秘技術:

重力子の制御とは、純粋エネルギー(PE)場を発生させる条件を変えることで原子間のクーロン力が影響される現象を応用した、慣性エネルギーが干渉を受けつつ重力の影響を受けなくなる現象の事。またその有効範囲内では水にごく微弱な電気を流すことで非常にローコストで分解が可能となる現象が確認されている。

2. 現在使用されている触媒に代わる高効率物質についてはこれから開発という箏になる。


これが実現すれば、低コストで分解した、酸素と水素を再結合させることで発電(燃料電池)がが可能で、発電した電力を 1. の分解に使用した差分が、純粋なゲイン(0から発電して得た電力)となる。この際に必要な電極が2. なのだがいろいろと試していれば見つかるだろう。


㊙実は水分子の分解・結合を閉鎖系で瞬時に繰り返し続けると、1秒あたり全質量の0.0001%が消失する事が偶然の実験で分かった。

つまり失われた質量は別の何かに変化したか、別の次元に転移してしまったと当初は推測されたが、後にこれが純粋エネルギーに変換されると推測された。

そして、発生したこの純粋エネルギーこそが重力子の制御及びクーロン力の制御の源だという事がわかったきた。

純粋エネルギー発生装置(PEG)内部の水分子の無限分解結合反応は、単体としてはロスが大きくマイナスだが、一方発生した純粋エネルギーでクーロン力を制御し水を分解する方法は分解コストがほぼ0となるのでその後の結合で発生した電力が全収入となる。

つまり、全収入から無限分解結合反応コストを弾いたものが純利つまり儲けの電力となる。もちろん初期投資として、装置の製造や維持、常時運転や送電等諸々のコストがかかるが、原料は水で燃料いらずの発電なので、クリーンな上に利益率は高い。その上、副次的に液体水素や、液体酸素を生産することもできるのでさらに工業としての価値が高い。これをクーロン発電と勝手に仮命名する。

この技術をトモル技研(株)の目玉にしたいと考えている。

この発電機を実用化して、発電事業も変えたい。


今度、お父上に頼んで関連会社の日本エネロンの研究部門に紹介してもい、基礎研究を進めたいものだ。


次は、燃料電池車だが、クーロン発電機をいかに小型化できるかが肝なのだが、基本電気自動車なので、バッテリーの能力や安全性と車両価格が最大の問題だ。

しかし、環境破壊の大きな原因である化石燃料の内燃機関を動力としている自動車は完全クリーンな燃料電池車に変えていく必要がある。

その他水素エンジンや、水素タービン、水素ジェットなども開発予定だ。


という箏で、燃料電池車や水素エンジンは関連企業の相模自動車工業(株)に研究の打診を頼んでもらおうと考えている。


これと並行して、航空機の推進方法を化石燃料燃焼方式から重力制御+水素ジェット又はロケットエンジン方式に変換していきたい。

他の選択肢として、マイクロ波プラズマジェットもありうる。

これらはクーロン発電機を改良して電気と水素・酸素を同時に発生させ、重力制御と、推進力を得るわけだが、重力制御+ロケットエンジンは宇宙船でも使える技術となる。


これも基礎研究をしておきたいので関連企業の神奈川空力工業(株)には水素ジェットとマイクロ波プラズマジェットも加えて基礎開発の検討を父上にお願いしておく。


以上のように各取締役としての職務は大変多忙なのだ。

(たぶんこんなに忙しいのは僕だけだと思うが)

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