第九話 グレゴリ
「さて、そろそろ勉強でも始めようか」
雫は部屋に入り、リュックの中から本を取り出した
「聖書グレゴリ。」
雫は大図書館から持ってきた本を読み始める
『聖書グレゴリ』
・グレゴリとは、神聖域グレゴリについて書かれた聖書である。
グレゴリには神が祀られており、神聖樹から賜りし通行書、または神による招待状がない限り侵入は愚か門前にすらも立ち入ることは禁じられている。
その他にも通行許可証を持っていても入ることのできない種族がいる
・妖精族
・魔族
・鬼族
・邪神に関する者、道具を所有する者の立ち入りを禁ずる。
また抵抗する者には神からの天罰が降るだろう
「はぁ、難しいな。」
雫は本を閉じ眠りにつく。
「早く.....きて......雫」
少女の声
「どこに。」
雫は聞き返す
「彩光の花園に。」
少女は雫の手を掴む
「何でだ。僕は何のために!」
雫が手を振り払う
「邪神の使い達が花園を破壊しにくる、だから助けて」
少女は膝をつく。
「何で僕が?」
雫が冷静に聞き返す
「ごめんなさい。もう時間。また」
少女が手を前出すと光が視界を覆った
「.....い、ぉい、おい!起きろ!」
遠かった声が鮮明に聞こえた
「っは!」
雫は飛び起きた。そこには宿屋の店主がいた
「そろそろ部屋掃除したいんだが」
店主は雫に退出を促した
「あ、すみません」
雫は荷物をまとめ足早に部屋を出た
「彩光の花園って何なんだ。」
雫はぼやきながら再び道を走り出した。
雫は猛スピードで走り続けた
「おーい」
前から声をかけられた
「はい!何でしょうか」
雫は立ち止まる
「旅人さん、何か買い出しとかはいかがかな?」
雫を呼び止めたのは商人だった
「そうですね、今困ってるものは特に。」
雫は首を横に振った
「いやね、ここ最近何者かが召喚陣を使い、異世界人をこの世界に呼び寄せたんだ。」
商人は腰を下ろし話はじめた。
「その異世界人は、どうやら膨大なオーラを持っているらしく、それに目をつけた神衛騎士団に入団させたらしいんだよ。そこで、今まで我々人間族を敵対視していた邪神の使い達が討伐されるのを恐れ、交易関係にあった妖精族に戦争を吹っかけたんだ。まぁ奴らがやりそうな事だね。周りから潰して行こうって感じなんだろう。」
商人は頭を抱えて話た。
「それで人間族にはどんな影響が?」
雫は聞き返す
「それが、彩光の花園って妖精族の領地には、特殊な花があってね、名前は、あ〜何だったっけ。あ!そうラフランシーって花がね傷を癒すポーションを作るために必要なんだよ。それが仕入れられなくなると騎士だけでなく、街の情勢がね。経済が回らなくなるんだ。そうだ、宿屋には寄ったかい?みんな気が立っててねぇ毎日生きる為に無理にでも値を上げないといけないんだ。」
商人は大きくため息をついた
(だから高かったのか。そもそも、異世界人って僕達のことだよな、何で僕は取り残されたんだ。)
「あっあの。その、彩光の花園の場所って知ってますか?」
雫は商人に聞いた
「すまんね、わからない。ただこの先にあるベーニャルって街にあるコシュアリ商会の会長はラフランシーの取引をしているから知っていると思うよ。まぁ無理に彩光の花園に近づくのはやめておいた方が良い。邪神の使い達だけじゃなく妖精族にも攻撃されるかもしれないしね」
商人は馬車に乗り出発しようとしていた
「じゃあまた、何かあったあらこの辺うろついてるから、ご贔屓にね!」
商人は走り去っていった
「はい!貴重な話ありがとうございました!」
雫もまた走り出す
次回 コシュアリ商会