第三話 過去のトラウマ
遂に雫のクラスの出番になった
果たして雫たちは優勝できるのだろうか
「さて、次は俺たちの番だ!いくぞ!!」
蓮は皆を鼓舞しコートに入っていった。
「よろしくな、蓮。お互い頑張ろうぜ」
敵チームの小坂一真が蓮に話し掛けてきた。
「おう、今日は楽しくなるぜ。なんせ雫がいるからな」
蓮が一真に言った
「何!?雫いるのか!」
一真は目を見開いた
そうだ、一真は蓮と共に雫をいじめていたグループの一味だった
「挨拶してきたらどうだ?」
蓮は一真の背中を押した
「おう!」
一真は雫の元へ走っていった
「久しぶりだな雫」
一真は話しかける
「ん?あっひ、久しぶり.....」
雫は俯く
「そんな怖がらないでくれよ。悲しいぜ」
一真は雫に言った
「う、うんごめん」
雫は少し怯え返答した
「まぁなんだお互い頑張ろう!よろしくな!」
一真は雫に手を差し伸べる
「うん、よろしく」
雫は手を握り握手した
それからのこと
両者は接戦を繰り広げていた
球技大会の内容は俗に言うドッチボールだ
お互いなかなかの削り合いでコートの中には3人ずつ残っていた
「バック!」蓮はバックを宣言しコートの中に戻ってきた
「雫!ボールだ!当てろ!」
蓮は雫にボールを投げる
「ど、どうしよう。」
雫にはもちろんのことボールのコントロールなんてできるわけもない
「早く!雫!」
蓮は叫ぶ
「s..ずく..右側に投げて」
雫の耳元で少女のような声が聞こえた
「え?だれ。」
雫はキョロキョロしながら疑問に思っていたが
なすすべがなかったので仕方なくボールを右側に投げた
すると、見事に一真にボールが当たった
「ナイス!雫!バックだ!戻ってこい」
蓮は雫を称賛しバックの宣言を催促した
「バック」
雫はコート内に戻る
「ちっ」
一真は舌打ちをして外野に出た
「すげーな、雫。」
蓮は話しかけてきた
「たまたまだよ」
雫は嬉しそうに答えた
そして、またしばらくして
「もらったぜ雫!」
一真は雫に全力投球した
「いって」
引きこもりの雫には男子高校生の全力は響く
「バック!!」
一真が内野に戻ってくる
「タイム!」
蓮が声を出す
「大丈夫か」
蓮が雫に駆け寄る
雫は鼻血を出していた
「う、うん」
雫はふらついていた。
「顔に当たったんだ今のはなしだ」
蓮は一真に言った
少し、にやついて
「おう、そうだな」
一真は再び外野に戻る
「本当に性格の悪さは世界一だな蓮」
一真はそう呟く
「まだやれるか?」
蓮は雫に言った
「ちょっと、休憩s」「審判!まだやれるみたいだ!」
雫の話を遮り蓮は言った
「本当か?大丈夫か?」
審判は雫に言った
「え、っと」
雫は何か言おうとした途端
「.........」
蓮は無言で雫を睨みつけた
「ま、まだやれます」
雫は立ち上がりコートに戻る
雫は恐る恐る蓮の顔を見ると蓮は笑顔に変わっていた
(この顔知ってる。人をいたぶる時にする顔だ。あの時と同じだ。来なきゃよかった。あの優しさは偽りだった。また僕は、こいつらに。いやだ逃げ出したい。でも今ここでそんなことしたら。何されるかわからない。怖い。怖い。)
雫は俯いていた
「....ぶな.....」
かすかに蓮の声が聞こえた気がした
途端、雫の顔にまたしてもボールが当たった
「いっ!」
声にならなかった
そして、意識が遠のいて真っ白に。。
「軽い脳震盪だねこれは、大丈夫さすぐ起きてくるよ」
医務室の先生の声がした
「よかった。起きたら戻ってくるように伝えてください」
蓮の声がかすかに聞こえる。
(あぁ疲れたよ。)
眠りについた
「お..きて...しず...く」
また少女の声
「うるさいな僕は疲れたんだよ。」
雫は苛立ちを覚えた
ゆっくり眠らせてくれ。今だけは......
謎の声の正体今だにわからないまま、雫はまだ続く球技大会に戻る羽目になった
次回 謎の光