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緋炎の英雄譚 -陽の章-  作者: 天田流々介
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【第2話】凶兆アロストウスと一族の汚名『ジャッジ』

―聖都グランリオ商業地区―


試験会場に向かうため、

アバンとザイラはグランリオの大通りを歩き続ける


ザイラは大通りの両側に展開されている

バラエティ豊かな食材・宝石・武器・更には見世物などに

キラキラと目を輝かせていた。


「兄様!見て見て!あんなところでブルータスモンキーが芸をやってるよ!

 あ、あっちでは七色綿飴が!」

「おいおい、急ぐんじゃなかったのか?」

「分かってますよーだ!試験が終わってから行きたいところを今のうちに

 物色しているのです!」

「なんとも殊勝なこって。」

「兄様も一緒に行くんですからね!ねっ!」


何度も念押しをするザイラ。

森の中で生活してきたザイラには都の風景がとても真新しく刺激的なのだろう。

こんなにも心から喜んでいるザイラを見ながら

アバンは出発前夜のことを思い出していた。



出発前夜(フォーリナーフォレスト)



アバンとザイラには両親が居ない。


ライザ族の村長マージェリーがフォーリナーフォレストの

小さな湖のほとりに置かれていた赤子2人を見つけ保護し、

今まで育ててくれたのだった。


発見時の状況については村長は何も教えてくれなかったが

アバンが発見された2年後にザイラが同じ場所で発見されたことだけは教えてくれた。


そんな身寄りの無いアバンとザイラは

村長の下、ライバ族として温かく迎えられた。


狩猟民族としての森の生活はいつも楽しいわけではなかった。

魔物と戦い負傷することも、時には死別も経験した。

だが充実した日々でもあった。


ザイラは人一倍思いやりと責任感のある心優しい人間だ。

そんな彼だからこそ村長、そしてライバ族の皆に恩返しをできるかもしれない今回の機会は

願ってもいない出来事だったのかもしれない。


そしてもちろん、アバンにとっても今回の召集は恩を返す最高の機会であると思っているが

聖都グランリオに向かう支度を終えた出発前夜にある出来事があった。


「アバンよ、ちょっといいかの?」

「村長?どうしたんです?もう夜も遅いですよ。」

「明日の明朝にはここを立つんじゃったな?その前にお前さんに話しておきたいことがあってな。

どうじゃ、少しばかり昔話をするついでに外に散歩に行かんか。」


いつもは厳しい口調が目立つ村長だが、

今日はなんだか物腰が柔らかく柔和な雰囲気の村長である。


「俺は全然問題ないですよ?なんならザイラも起こしてきましょうか?」

「いや、ザイラはそのまま寝かしておきなさい。寝不足は体に悪い」

「ははーん、村長。俺は寝不足でも問題ないと?」

「はっはっは、お前さんは丈夫じゃから問題あるまい。ほれ付いて来なさい」


軽く会話が弾んだ後、アバンと村長は

ライザ族の拠点集落を離れ、ある場所へと向かった。


そして歩くこと30分、2人はある小さな湖のほとりに到着した。


「村長、、、ここは。」

「、、、そう、お前さんが拾われた場所じゃよ。」


村長はそう言うと湖の上を指さして、さらに話し始めた。


「16年前、お前さんを見つけたのは今日のような静かで空気が澄み、夜空の星々が輝いておった日のことじゃった。

じゃが一つだけいつもの夜空と違う景色をわしは見たのじゃ。」


村長は空を見上げ深く深呼吸をした後、

何かを思い出すように話し始めた。


「一瞬アロストウスが真紅に光ったんじゃ」


アバンは夜空に輝く人るの星を見つめて言った。


「アロストウスって、あの光が一番輝いている星のこと?」


アロストウスは、この世界から確認できる星の中でも

ひと際強い輝きを持つ1等星である。


「そうじゃ、アロストウスは別名[大守護星](だいしゅごせい)とも呼ばれ、

この世界の行く末を見守る偉大なる星とも呼ばれておる。」

「その話なら知ってるぜ。俺たちがまだ小さい頃

村長からから寝る前にいつも聞かされてきたおとぎ話に出てきてたからな

『悪いことをするとアロストウスから魔物が来て襲いに来るぞ!』ってね。」

「ほっほっほ、そうじゃったそうじゃった。実はそのおとぎ話には実は元となった話が有ったんじゃよ。」


村長はそう言うと、アロストウスのおとぎ話の元ネタについて

アバンに言い伝えた。


「かつて起きた歴史的「聖樹大戦」が勃発する前夜、赤く光ったんじゃ。」

「赤く光ったって。。。まさか今日と同じように?」

「そうじゃ。聖樹大戦がはじまったのは約800年前じゃ、事の真意は分からん。

しかしライバ族の伝承記録の中に今回と同じ現象があったと記されていた。」


村長のいうところによると、

ライバ族は今でこそ天空界の最果てフォーリナーフォレストの奥地に居を構えているが

聖樹大戦が終わるまでの300年の間は、聖都グランリオの兵士として仕えていたのだそうだ。


しかし聖樹大戦が終わると同時に、ライバ族は現在の居住地に拠点を移し

人里離れた大地で隠遁生活を送り始めたという。


その話を聞いたアバンは首をかしげる。


「なぜ聖樹大戦の終焉まで加勢をしたライバ族は隠遁生活を送らなければならなかったんだ?

村長の先祖はグランリオの為に命を懸けたんだよな?

その報酬が最果ての地で隠遁生活ってのは納得がいかない。」


アバンの指摘はもっともである。

村長はそんなアバンの回答を予想していたかのように話し始めた。


「戦時中ライバ族の中に聖都グランリオの王族殺しをやった大罪人がおったのじゃ。

その名はー」


『ジャッジ』



作品を読んでいただきありがとうございます!


見ていただいている方々に

これからも引き続き楽しんでいただけるように更新頑張ります!


今後のモチベーションにもつながりますので

宜しければ高評価お願い致します♪

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