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暗雲は遠くに、されど晴れず。
「……白のヌルジール。私に監視を命じておきながら、あんな堂々と話に行くとはどういうことか、聞かせてもらえる?」
「やだなぁ、ただの偵察だよ。自分の力量、キミの力量、彼の力量、彼女の力量。惜しむらくは、黒のヌルジールに憑いてるキミの姉妹の力量がはかれなかったことだけど」
「けど?」
「……あんな色ボケした子供、ボクたちが力を合わせれば今日にでも殺せる」
「街ごと消し飛ばすなら、そうね……けれど、今はまだその時ではないわ」
「キミのいう”その時”とやらはいつ訪れるのさ?」
「……楽しみにしているといいわ。とびきり驚くようなことが起きるから」
「……楽しみにしておくよ。せっかく強い絆で結ばれた二人なんだ。動けなくしてから、むごたらしく。あの二人の悲鳴が混ざる時が楽しみだよ」