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クロックロック  作者: 海咲えりか
ようこそフローワールド
9/59

 薄暗い部屋に、小さなパソコンが一つ。少女は安物のイヤホンマイクを付け、ちらちらと明滅する画面を凝視している。


「アウル……アウルって言うんだ」


 漏れた独り言を聴く人物は、この部屋に存在しない。

 画面の中では小さな少年が、大きな武器を両手で抱え巨大なモンスターに立ち向かっている。それは、ゲーム画面のようだった。

 不意に別のブラウザを立ち上げ、カタカタとキーボードをたたき「アウル」と入力する少女。出てきたのは、「OWL」という単語だった。


「ふく、ろう。フクロウの事なんだね、アウルって」


 少女の声は、部屋に響いて溶け入り、消えた。

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