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「えぇ、彼は今準備中でして。クロック運営との協議が行われているので、それ以上はお話ができません」
スオウはネット配信者に捕まっていた。
アウルが突然消えた事で、スオウが普段通りを努めていてもリスナーはそれを許さなかった。現状アウルの状況を知る人物はスオウしかおらず、こういったネットアイドルや配信者のゴシップに目ざとい、配信者を追う配信者に捕まってしまったのが数時間前。
『でも、昨日のアウルは配信予告をしてましたよね?』
通話越しに、ニヤついた声がスオウに刺さる。
「未定な部分が多すぎたんです。とにかく、アウルは戻ってきますから」
『いつ?』
「一週間後くらいでしょうか」
『なるほど……スオウさんはアウルと連絡取れてるんですよね?』
「とってますよ。ただ彼は今クロックアカウントを持っていない状態ですから、他に誰とも連絡が取れない状況にあります」
堂々巡りの質問に嫌気がさしてきた。
『そんな都合よくスオウさんだけ連絡がとれるって、変じゃないですか? 他にも幹部は居ましたよね?』
今日何度目かの溜息をついて、スオウはコーヒーを一口含んだ。