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「どうしたんだ、アウル」
『ん、いやー……』
歯切れの悪い返事をするアウルに、スオウは怪訝な顔をして考えていた。
「なにかあったのか?」
『ちょっと気になる事があるというか、大した事じゃないんだけど』
通話越しに、瓶のふたを開ける音が聞こえた。スオウもまた、PC前に並べていた小瓶を一つ手に取り開ける。
『なぁ、この企画って本当に参加者は五人だけなのかな』
「どういう事だ?」
『ハイデって女の子が現れたのは昨日言ったろ? その子がさ、どうも……いや、考えすぎかな』
喉を鳴らす音が聞こえる。ひとつ溜息を吐いて、再び口を開く。
『ま、あんまりにも可愛いもんだから、ちょっと夢に出てきたって話だよ』
一転して明るく話すアウル。
いつもとは違った空気に一瞬だけ身構えたが、ただの杞憂だったようだ。
「ところで……悪いが今日から数日家を空ける事になると思う」
『病院か?』
「まぁな」
『あんまり無理するなよ、ここ数日俺のせいで対応に追われてたみたいだし』
「ただの検査入院だよ、気にすんなって」
早くなっていく鼓動を抑えつつ、スオウはピルケースを握り締めた。
スオウの身体は限界が近かった。もともと身体が弱く、頻繁に入退院を繰り返していた。それが最近は寝る時間すら削っていた為、無理が祟って体調を崩しているのもまた事実だった。
「一人で大丈夫か?」
『平気、今は一人じゃないからな。仲間がいる』
「へぇ、お前の口からそんな言葉が出てくるなんてな」
『面白い奴らなんだぜ、今日もさ―』
早まる鼓動とアウルの軽快な喋りを聴きながら、夜更けの静けさを感じていた。




