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酷い疲れに、そのまま寝てしまいそうになりながらも、潤はパソコンを操作してスオウの名前を探した。
仮想空間を利用した通信と迷ったが、疲労が酷すぎてそれどころではない。しかたなく、音声通話で発信を試みる。ログインしていたらしいスオウには、すぐに繋がった。
『おつかれさんっ‼』
「うるさい、マスト」
『だーっ、ひっでぇな』
よく知るアニメキャラで応答したスオウに、冷たく言い放つ。それどころではなかった。
「ひっどい目にあった……なんだあのゲーム」
『五感システムか?』
「知ってたのか」
『お前がログインした後で気づいたんだよ、悪かったな』
「俺もうクリア出来る気がしねぇよ……」
無線イヤホンに切り替え、席を立つ。玄関の段ボールに向かうと、小さな冷蔵庫からエナジードリンクを一本取り出し一気に飲み干した。
『でもアカウントの為だろ。こっちは大変だぞ、もうお前のなりすましが出て来てんだ』
「はぁ? 消えてまだ一日も経ってないだろ?」
『お前、自分がどれだけ偉い立場にいたのか忘れたのか?』
返す言葉が見つからなかった。決して驕るつもりはなかったが、二百万人を超えるフォロワーがいる配信者はそう多くない。
『おかげで俺の放送は大賑わいだったよ、色んな意味でな』
「あぁ……わりぃな、なんか」
『気にすんな、この機会に俺の配信も見に来る人が増えるだろうし』
もう一本ドリンクを手に取り、開けてから部屋に戻る。ドリンクのせいなのか、少し目が覚めたように思えた。
「とりあえず、こっちであった事を話すよ。頼みたい事もあるしな」
時刻は午前0時。夜はまだ長い。




