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少女の部屋は、前にも増して散らかっていた。あちこちに弁当の空箱や、飲み干した空のペットボトルが転がっている。
「だけど、私は……」
少女は半泣きになりながら、イヤホンマイクに向かい喋っている。
「うぅん、なんでもない……ごめんなさい、私がワガママ言って……」
少女の声はか細く震え、上ずっていく。
「うん、うん。そうだよね、逃げちゃダメだよね」
その目に光はない。
「私、明日はちゃんと学校に行くね」
目元を拭った白く細い手首には、いくつもの赤い筋が浮かんで見える。
「終わったらまた見に行くからね」
誰もみていない部屋で、少女は涙をいくつもの筋に変え、それでも笑って見せた。




