第 11話 新年の幕開け
新年がやってきた。三人はあまり実感が湧かないようだ。
「本当のハッピーニューヤー!!!」
「ハッピーニューイヤーだけどな……さっきまで俺達も吊られてたんだが……」
「新年あけましておめでとう。……さて」
おしとやかな女性は一間置いて、一つの巻物を取り出した。それを軽快な少女に渡す。
「代替わりの時間だ。最後に何か言い残したことはないか?」
「……。本当に……私はこの世界から出て行かなくちゃいけないの……?」
いつもは軽快な少女のこの件になると悲しそうな表情になる。
「あぁ、俺も残念に思う。だが、これもルールだ。それに……お前は1日早く祝ってた。代替わりする事は理解してたんだよな?」
「通常なら先代となった年神は一人でこの世界を去る事になっているが……」
「最後にお別れがしたかったから……一人が寂しかったから……」
軽快な少女の体が光に包まれていく。
「あぁ、一年間、この世界を支えてくれて本当にありがとう。後は俺に任せとけ!」
軽快な少女はその言葉を聞くと、いつも通りの調子で返答した。
「……ありがとう!新しい一年を楽しんで!!」
「あぁ、その為に俺はいる」
「……じゃあね!」
年神は手を振って先代を見送った。先代は光となり、巻物の中に入る。そして巻物はゆっくりと姿を消した。
その後、二人はお寺を離れ、山の山頂へと向かった。
山頂に辿り着いたと同時に空が明るくなってきた。
登る初日の出を眺めながら。お互いに挨拶をした。
「……新代年神。明けましておめでとうございます」
「明けましておめでとうございます!暦ノ神様!今年、よろしくお願いします!」
一つの年が終わり、新たなる年の幕上げである。
明けましておめでとうございます。今年は去年より沢山執筆できるように頑張ります。