第 10話 年末
「ハッピーニューヤー!!!」
一室に響き渡る甲高い声。
「うるさいねぇ……気が早すぎるよ……」
おとなしめの女性がそう返答する。
「えー!!だって……もうすぐ今年が終わるんだよ?最後の日を盛大にお祝いしないと!」
「まぁ、いいんじゃねーの?今日くらいは弾けても……」
「ほらね!●●●もそう言ってるよ!」
「……そうだな」
「ハッピーニューヤー!!」
「ハッピーニューヤー……」
「おう!あけおめことよろだな!」
三人がこうして年末を祝いあった。
「ねぇねぇ……少し早いけど近くのお寺に行かない?」
「お!それいいな!」
「●●●は?」
「別に構わんが……」
「やったー!じゃあ行こ!」
三人は一室を出て近くのお寺まで歩いていく。
軽快な少女は今年を振り返りながら歩いた。
気楽な男性は来年の抱負を考えながら歩いた。
おとなしめの女性はそんな二人を後ろから眺めながら歩いた。
「今年もいろいろあったな〜。ねぇ●●●。来年は何をする予定なの?」
「そうだな……あんたのしてきたことをなんとかするかな……」
「ちょっと!私が何かしたって言うの!?」
「あぁ、特に▲▲▲▲▲▲とか」
「……あれはっ、ごめんなさい……」
「まぁ、いいけどさ、その辺は俺がなんとかするからさ」
「ありがとう……私はもう何もできないから……」
「いいってことよ!」
「……」
今日は年末。一人一人が過去や未来を思う日である。この世界の、一つの区切りでもある。軽快な少女はこの日をどう締めくくるだろう……。おとなしめの女性は軽快な少女を見ていた。