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円卓の血族VSコミュ障

「また、ユウリ・アルシフォンか!!」

 

 血液の色を思わせる深紅色の円卓には、背もたれの部分に魔法陣が描かれた座席が十三存在していた。

 

 そこには、魔術投影された影が三つ――背の高さや横幅で個性を出しているものの、顔貌まではわからない黒色の人影が己の座席へと腰掛けている。


「落ち着きなさいな、ハゲ。今更、騒いだところで、後の祭りでしょーが、ハゲ。うっとおしいつーの、ハゲ」

「落ち着いてられるかコレが!? アレだけの飛竜を集めて王都を襲撃させれば、煉瓦で撃退されるわ、土中で丹精込めたキューピィちゃんたちが、タオルでぶち殺されるわで――儂はまだハゲとらんわ!!」

「え、えひ、えひひ……話、すり替わってるよ……」

 

 最も小柄な影、ハゲな影、二メートルもの長い頭をもつ影は、侃々諤々の議論を行い、真っ黒な空間で激論を交わし合う。


「そもそも、貴様らは恥ずかしくないのか!? この体たらくを!? 儂らのうち、七人は『なんか急に襲ってきた危ない人』として、ユウリ・アルシフォンに叩きのめされて、暴行未遂で牢獄に入っとるんじゃぞ!?

 十三人の円卓の騎士の大半が、牢屋入りとは恥ずかしくないのか!?」

「アナタこそ、ハゲてて恥ずかしくないの?」

「恥ずかしいから、帽子かぶって――儂はまだハゲとらんわ!!」

 

 たったひとりの少女のためだけに、結成された組織『円卓の血族』。


 彼らは、邪魔な存在でしかないユウリ・アルシフォンを排除しようと企んできたが、その尽くは不首尾に終わっていた。


「アーサーは、もうすぐ出てこれるんだっけ? ハゲ?」

「え、えひひ……お祝い、しなきゃね……」

「何がお祝いじゃ、バカモンが!! なんで、リーダーなのに『あいつ、指一本で殺すわ』とか粋がって、一番最初にやられとるんじゃアイツ!!」

「えひ……捕まったのって……アーサー、ガレス、ケイ、ベティヴィア、ラモラック、ボールス、ゲライント、ガヘリスだよね……アーサー以外は、もう脱退しちゃったけど……。

 今、表で〝冒険者〟として動いてるのはランスロットとモードレッド?」

「そだね、その二人」

 

 縦に伸びた影が、異様に長い指を折りながら数える。


「つーかさ、ガラハゲッドハゲテッド」

「ガラハッドじゃ、韻を踏むな」

「ユウリ・アルシフォンには、こっちの計画が全バレしてんじゃないの? そして、アナタは全ハゲしてんじゃないの?」

 

 円卓が静まり返る。誰もがどこかで感じていた。ユウリ・アルシフォンの特異性と彼が円卓の仕込んだ〝仕掛け〟に居合わせる偶然性の高さ……そして、ガラハッドがハゲていることを。


「えひえひ、探ってみる? ルポールは、今更、外せないんでしょ?」

「〝アレ〟があるからのう。

 王都は飛竜に目を向けさせている間に細工はできたが、ルポールはそうもいかん。開放するにしても、時間がかかり過ぎる」

「もう、探ってる」

 

 円卓に顎を載せた小さな影は、どこか楽しそうにクスクスと笑って、細い人差し指で宙空を描く。


「ユウリ・アルシフォンのパーティーに〝密偵〟を潜り込ませた」

「さすがじゃのう、トリスタン卿!!」

「えひひ……さすが、トリスたん……」

 

 ガラハッドたちの賛辞を受けて満足そうに微笑んだ影は、自身の指の描いた部分から滴る〝血液〟をすくいとって自身の口元に運ぶ。


「ユウリ・アルシフォン……味あわせてもらうよ、アナタの秘密……」

 

 真紅の円卓から三人分の影が失せた後、闇の中に溶けるようにして十三の席は消えていった。




「いやー、どうも、ユウリさん!! 自分みたいなアレを『燈の剣閃(ランプ・フリッカー)』に受け入れてもらえて、本当に嬉しいですよ!! どうぞ、よろしく!!」

 

 金色の髪に黒髪が混じっている青年は、満面の笑みを崩そうともせずに、人畜無害そうな面構えのままで僕に近づいてくる。


「ユウリ様、知り合いですか?」

「先輩、知り合いなの?」

 

 二人に問いかけられて、僕は自分の記憶に存在していない彼に問いかける。


「……誰だ?」

「え、憶えてないっすか?」

 

 腰に綺羅びやかな剣を差した彼は、にこやかな笑顔で僕に言った。


「アーサーです。家名はないので、ただのアーサー。

 今後とも、よろしく」


 彼は、笑ったまま、僕に右手を差し出した。

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