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外面だけは完璧なコミュ障冒険者、Sランクパーティーでリーダーになる  作者: 端桜了/とまとすぱげてぃ
最終章 外面だけは完璧だったコミュ障冒険者、Sランクパーティーでリーダーになる
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たすけて

今日はアン・レフォルマという少年を殺した背の低いそばかすのある男の子だった神託の巫女であるわたしの命を狙っていただから殺した殺さなければ殺されていただろうだが彼の弱まっていく心音と泣きながら母の名前を呼ぶ彼を忘れられない今日は土中芋虫を三匹殺した天災害獣を殺す時はあまり罪悪感がわかないたぶん人の形をしていないからだろうでも殺しは殺しであるし罪悪感が湧かない自分に吐き気をもよおす邪悪が形をとったらわたしみたいになるんだろう今日は名前もわからないうちに少女を殺した彼女の腹には呪術爆弾が埋め込まれていて泣きながら突っ込んでくる彼女を殺さなければわたしが死んでいただろうだから殺したのは正しい殺したくないよでも殺すのは正しいありがとう今日は三人の兄弟を殺した長男はロック・マチューバ次男はエガルド・マチューバ三男はウェイバー・マチューバだ彼らは皆鼻の形が似ていてたが切り飛ばしたら同じになったなんで殺したのか思い出せないたぶん辛すぎて心にロックがかかっているんだろうわたしの心は優秀だ殺せば殺すほどに秀でていく長男から殺したが次男と三男は自分から殺せと喚いていたなあははどうせ殺すよと思っていたができれば殺したくはなかったなんで襲いかかってくるんだやめてくれなにが気に食わないんだやめてくれわたしが普遍の民だからかシュヴェルツウェイン王家の人間だからか皆のために戦っている筈なのにこの前まで笑いかけてきていた人たちが襲いかかってくるなんなんだわたしはなんなんだ今日は藍乱甲羅を十三匹も殺した天災害獣を殺すと皆が喜ぶのでわたしも喜ぶでもわたしは知っている天災害獣もまた別世界の住人に過ぎない単純に言葉が通じず異なる外面をもっているから忘れているが彼らも魔族と呼ばれる一種なのだ千年前の神託の巫女が起こした神の採択で彼らを別世界に送ったのは過去の神託の巫女もその罪を背負いきれなかっただからだろう彼女を責めることはできない当たり前だわたしだってできないんだから今日は三十五人の死霊術師たちを殺した彼らは死贄と呼ばれるひとりを選んで徹底的に迫害していじめ抜く文化をもっている今回の死贄はまだたった十歳の女の子で仲裁に入ったら殺されかけたので殺した仕方がなかったでも彼女を救ったとしても死霊術師を滅ぼさない限り同じことは続くだろうそしてそれをやめさせるには死霊術師を滅ぼす他ない最初から関わってはいけない案件だったのだ血と臓物で塗れたわたしを見る死贄の少女はなにを思っただろうかあはは汚らしい悪鬼を見るような目だったなたすけてくれ今日はおじいさんとおばあさんを殺したふたりとも王都でわたしを見かけると声をかけてくれていたとても良い人たちだっただが彼らは神託の巫女に殺されると楽園にいけると信じ込んでいてわたしが訪ねるのを見計らって自分たちの喉に穴を空けた喘鳴と血を零しながら必死の表情でわたしに縋るふたりをどうやって見捨てられるだろうか首を軽くひねったらとれてふたりとも死んでいっただがその表情はとても苦しそうでとても楽園にいけるような面ではなかった前日の雨でできた水たまりに映るわたしもまたとても楽園にいけるような面ではなかった今日はミーシャ・フォン・エヴェッサというわたしの大事なお友だちを殺した彼女は地方領主のひとりでたまに視察に行った時に絡んでくる女の子だったどうにもプライドが高いらしくなにかとわたしの後をついてきて偉そうな口調で政権批判をしたり自分の治める領地の素晴らしさを鼻高々と語るのだ最初は彼女のことが嫌いで嫌煙していたが徐々に彼女の扱い方を学ぶと可愛らしく思えてきたまた彼女は努力家で貴族らしからぬ民に対する慈愛溢れる優しさをもっていただから彼女のことは好ましく思っていたよそんな折に彼女は自分の愛する民に騙されてシュヴェルツウェイン王家の金に手をつけた以前はエヴェッサ家のものだったと卑しい民たちが彼女に汚らしく耳打ちしたのだわたしは必死な思いで彼女に真実を話したが受け入れてはもらえなかったそれから暫くすると彼女から手紙が届きわたしは彼女の領地に招き入れられて歓迎を受けた毒入りの料理でわたしは毒を盛られてもなお彼女のことを殺したくはなかっただが鬼気迫る表情でわたしの首を締め続ける彼女をぼうっと見つめていたら殺すしかないと思った死ぬ直前になって彼女は正気に戻って泣きながらごめんなさいと何度も言っていたごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいとごめんなさいと言っていたそして虚ろな瞳で死んだあの子はわたしのことを友だちだと思ってくれていただろうか今日はミーシャ・フォン・エヴェッサというわたしの大事なお友だちを騙したヤツらを殺した気持ちがよかった苦痛で歪む顔を視ていると気分が爽快だったそして全てが終わった後にわたしは自分が英雄ではないことを悟ったただの偽善で固まる愚図だ変わらなければならないこんなことを繰り返してはいけない誰でもいいからたすけてたすけてくださいたすけてごめんなさい今日は貧民窟で出会ったふたりを殺した今日はわたしにカネ目当てで近づいた男娼を殺した今日はお父様に命令されて上級種を殺した今日は三人殺した今日は六人殺した今日は十二人殺した今日は一人しか殺してない褒めて欲しい今日はたくさん殺した誰かー誰かーわたしのかわりに殺しておくれよー誰かー英雄はそんなことは言わないそうだろそうだろわたしやめろそんなことを書くなやめろ今日は貧民窟で少年と少女に出会ったふたりは無邪気で人懐っこく読み書きを教えてアーサー王と円卓の騎士をプレゼントした男の子のほうはアーサー王に憧れていたので彼を王様にしてやったアーサーという名前をもらって彼は嬉しそうだった女の子のほうも名前を欲しがったのでトリスタンと名付けたこの子たちは殺したくない今日は爺と一緒に普遍の民を大量に殺害した獣人の民を殺した人種間の問題は根強く彼らの恨みは深かった普遍の民であるシュヴェルツウェイン王家にも大きな恨みをもっており首を撥ねるまでは元気に恨みつらみを吐いていた結局のところ力をもったわたしはなにを変えられたんだろうかたすけてくれつらいよたすけてくれたすけてくれたすけてくれ今日は貧民窟で悠里という名の少年に出会った不思議な子だどうしてか自分に似ていると思ったなんせ世界を呪っている彼は異界の民で元の世界でいじめを受けてきたらしいどこの世界でもやはりそういうものがあるものだ平和な世界なんて有り得ないんだろうか外面的には平和な世界はあっても誰も彼もが争いを望まぬ世界なんて成立しないのかもしれないだがこんなわたしでもなにも変えられなかったわたしでも彼を変えられることはできるのかもしれないこの世界を呪ってしまった悲しい少年に楽しい世界の見方を教えてあげられるかもしれないただのバカでなにも救えなかったわたしでもなにかを成し遂げられるかもしれないありがとう悠里キミはわたしの希望だキミに出会えたからわたしは正気を保てているのかもしれない頼むから悠里キミだけは英雄にはなってくれるなよキミはわたしの希望だただもう世界を呪わなければいい幸せになってくれ笑えよ笑って終われよわたしみたいになるなよお願いだからお願いだから神様この子は幸せにしてやってくださいこの子はこの子は幸せにアーサーもトリスタンも爺もお父様も皆幸せにしてやってくださいお願いですからどうかどうかお願いしますからどうかお願いしますどうかどうかどうかお願いします今日は土中芋虫を殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺したの数が足りないもっと殺したどうしてだお父様どうしてどうしてなのお父様お父様どうしてなんでなんで殺し合うのなんでどうしてお父様どうしてやめてよたすけて悠里たすけてたすけてよたすけてアーサーたすけてトリスタンたすけて爺たすけてお父様たすけて悠里笑えよ笑って終われよたすけてくれたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてよ怖いよもう怖いよたすけてよたすけて怖いよたすけてよ















































































































































たすけて

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