自由な星の住人の話
そうだな、最初は良かったんだ。自由に歩き、自由に生活し、自由を謳歌する。俺の求めていた物はこの星にあったんだって思った。小さな村とかもあった。そこを拠点にして生活したり、暫くしたらどこか他の場所を求めて移動する。
ただ、ある日出会ってしまったんだ。狩りの途中にある男と。
その男は野生動物に襲われていて、1人ではとても倒せそうになかった。だから手伝ってやった。
2人がかりで野生動物を倒した後にそいつは言ってきたんだ。
「助かったよ、ありがとう。お礼と言ってはなんだが、あんただけは狙わないことにする」
「?、どういうことだ?」
俺の質問に対してあいつは楽しそうに返事をしたんだ。
「そのまんまの意味さ、俺はこの自由の星で目に付いたものすべてを」
そう、とても楽しそうにだ。
「殺して回ると決めたんだ」
「殺して回る……とは中々穏やかではないですね。何か理由でもあったんでしょうか」
私の疑問に答えてくれたのはおじさんではなくティーさんでした。
「多分ないでしょうネ。なにぶんそこは自由の星ですかラ」
「ええ、その通りだ。よくわかっているじゃないかロボット君。さっきも言った通りあの星にルールはない、皆誰かの考えにケチはつけないんだ」
「そういうものなんですか」
「ああ、そんなものさ。……話を戻そう」
そいつは後2日ほどしたら俺がいる村まで行くと言っていたんだ。俺としてはたまったものじゃない。何としても阻止しなければ。だが俺には人を殺す度胸などなかった。だからすぐさま帰って村長に報告した。
「と言うことは、村人皆で抵抗したけど勝てなかったって事ですか?そしてそれを話したあなたに恨みでも持たれて……」
「いや、そうじゃない。その男自体は悪くないんだ。問題は村長だった。俺がその話を村長にした時、あいつはこう言ったんだ」
『なるほど!そんな考えもあるのか!面白い、我々もやってみようではないか!』
「……えっと、それは……」
「そこからは早かった。村民全員を集めて集会を開き村長の提案は可決。次の日には村全体で殺し合いが始まった」
私が何か声をかけるよりも先に話を進めていく。出来れば思い出したくないのだろう。とくに早口で会話は進行していく。
「狂っていると思うだろ?俺はそう思った。でも仕方がない事なのかもしれないと諦めも持っていた。なんたってあの星は――それも含めて自由だったから」